「できるだけ安価に、かつ良い教材を取り揃えたい」

eラーニングの教材コンテンツの調達を担当されている方は、このようにお考えだと思います。しかし、闇雲にインターネット検索をしてみても、ベンダー各社が提供している教材コンテンツの多さに圧倒され、混乱してしまうだけです。

大切なのは、企業には自社の課題を踏まえたさまざまな教育施策があり、それに適したものを調達することです。では、それぞれの施策に最適な教材コンテンツを選ぶにはどうすればよいのでしょうか?

本稿では、教材コンテンツの代表的な調達方法をご紹介するとともに、教育施策ごとの教材コンテンツを選ぶ際にどのような視点・考え方が必要か、解説したいと思います。

教材の調達方法には、大きく4つのパターンがあります。まずは予備知識としてこれらを押さえておきましょう。

■eラーニングを自社で作成するなら!
「eラーニング 作り方の教科書」無料ダウンロードはこちら

■eラーニングを購入するなら!費用対効果◎の受け放題サービスがおすすめ
eラーニング受け放題サービス「まなびプレミアム」について詳しくはこちら

eラーニングのコンテンツ(教材)を購入する場合

まずはeラーニングコンテンツ(教材)を購入する場合です。

購入後に自社向けにカスタマイズを行う場合に関しても併せて紹介します。

既製品のeラーニングコンテンツを購入する

すでに出来上がった教材パッケージを購入して利用する」方法です。学習内容が決まっているので、自社オリジナルの要素は入れられませんが、プロが作った教材なので品質の点で安心できます。コンプライアンス関係の基礎教育や一般的なビジネス知識、PC操作、語学など、普遍的なテーマであれば、パッケージ商品十分にまかなえます。

納品パターンは以下の2つが想定できます。

①自社で運用しているLMSがある場合

自社のLMS(学習管理システム)教材コンテンツ規格が合えば、その教材コンテンツを自社のLMSに登録・運用することができます。規格を確認し、データで納品してもらいましょう。
合わない場合は、1-2の方法を取ります。

②自社で運用しているLMSがない場合

教材コンテンツを提供しているベンダーから配信サービス(クラウドサービス)を受けることになります。この場合は自社に特別な設備は必要なく、受講者が学習に必要な端末を持っていればOKです。

料金は通常、ライセンス料の形で支払います。

eラーニング受け放題サービス「まなびプレミアム」について詳しく見る

既製品のeラーニングコンテンツをカスタマイズする

既製品の一部を自社向けの内容にカスタマイズする方法です。多くの場合、教材コンテンツのベンダーは自社内に制作部隊を持っていますので、そこに発注します。
よくあるカスタマイズ例としては、以下のようなものが挙げられます。

・eラーニング教材を統合・分割する

教材の内容長さ調節するために、既製の教材を分割したり、他の教材と統合したりします。なるべく1つの教材にまとめたいといった要望や、一つ一つの教材をなるべく短くしたいという要望が背景にあることが多いようです。もっとも、1つの教材は共通の学習目標に基づいて設計されていますので、あまり切り貼りすると目標と内容のバランスが崩れてしまいます。eラーニングベンダーとしては、あまりおすすめできないカスタマイズです。

・eラーニング教材に項目を追加する

既存の教材の学習内容に、情報追加します。例えば社長や教育施策の関連部署トップのメッセージ動画を組み込んだり、自社の事例や制度に関する情報を追加したり、といった具合です。ちょっとした工夫で、学習に対するモチベーション教育効果アップが期待できます。

・ケーススタディを自社のものに置き換える

既存の教材の中に用意されているケーススタディを、自社の事例をベースにした内容に置き換えるものです。例えばコンプライアンス関係の「ヒヤリ・ハット」事例やハラスメント関係のトラブル事例などが挙げられます。自社で起きた実例を教育素材にすることで、リアリティが増し、当事者意識の醸成に役立ちます。

・eラーニングのテストの内容を変更する

既製の教材コンテンツには、確認テストが入っているのが一般的です。その難易度調整したり、設問を追加したり、ケーススタディ同様に自社オリジナルの情報に変更したり、といったカスタマイズが考えられます。

・用語や表現を変更する

企業には業界や自社オリジナルの共通言語があるものです。既製の教材コンテンツは汎用性を重視して作られていますので、用語や表現を自社向けに調整することで、受講者に受け入れやすくなるという効果が見込めます。

カスタマイズには当然コストがかかりますが、受講者のモチベーション喚起実践的な学習の実現につながります。施策の重要性見込める教育効果に鑑みて、検討するとよいでしょう。

豊富なeラーニングコンテンツのカスタマイズもライトワークスにお任せ!
eラーニング教材制作サービスについて詳しくはこちら>>

eラーニングのコンテンツ(教材)を作成する場合

eラーニングの教材をオーダーメードする

ベンダーに発注し、教材コンテンツをオーダーメードする方法です。コストはそれなりにかかりますが、教材設計やコンテンツ制作について、プロノウハウを活用しながら自社オリジナルの教材制作できる点は大きなメリットでしょう。制作工程は大まかに以下のような流れで進みます。

◆教材コンテンツの制作工程

特に重要なのは企画・設計フェーズです。この段階で、「どんな教材を作るか」を決める必要があるからです。

情報収集・提供

まず「情報収集・提供」段階では、社内にあるマニュアルやパワーポイント(PPT)資料、調査結果データなどを整理してベンダーに提供する形がよくみられます。社内の有識者にインタビューを行うなど、明文化されていない情報を改めて整理する場合もあります。

概要仕様決定

概要仕様決定」段階では、教材のアウトラインを検討し、学習範囲目次案などを決めます。また、ナレーションやキャラクターが要るかどうか、動作の有無などについても方針を決め、制作するための要件を洗い出します。この段階で見積もりが可能になるので、コスト面の調整をし、発注します。

詳細仕様決定

詳細仕様決定」では、発注した要件に基づいてさらに細かな仕様を詰め、スケジュールをひき、実際の制作に入る準備をします。

この間、ベンダーからの提案を受けつつ打ち合わせを重ねます。

続く開発フェーズでは、主にベンダー側の作業がメインとなりますが、「原稿作成」「絵コンテ作成」を自社で行う例もみられます。

キャラクター作成、撮影、ナレーション収録

キャラクター作成」や「撮影」、「ナレーション収録」の要否は、教材の仕様によって異なります。キャラクターを作ってナレーションをつけたり、動画メインでリッチな演出効果を入れたりすると、手の込んだ教材ができあがりますが、その分コストがかかり、メンテナンスも大変になるので注意が必要です。

オーサリング

オーサリング」とは、原稿やイラスト、音声ファイル、動画ファイルなどをWebコンテンツに組み上げる作業のことです。この工程がないと、LMSから配信できる状態にはなりません

オーサリングが終わったら、実際に教材を再生しながら品質をチェックし、修正を経て確定となります。

ライトワークスの教材制作サービス

eラーニング教材を自社で制作する

教材コンテンツを全面的に自社で作る、という方法です。あでご紹介した内容を全て社内で行うことになります。……と聞くと難しそうですが、eラーニングを活用している企業の多くが「教材作成ツール」を使って教材コンテンツを内製しています。

教材作成ツールは、上記の工程のうち「オーサリング」を自動で行うツールです。これを使えば、プログラミングの知識がなくてもeラーニングの教材コンテンツを作ることができます。素材はパワーポイントエクセルで用意するのが一般的。音声ファイル動画ファイルも組み込めるので、自社で収録・撮影をすればコストを抑えながら自由な教材制作が可能になります。

実現できる仕様が教材作成ツールでできる範囲に限られる分、オーダーメードの場合に比べてシンプルな作りになりますが、コストをかけずにオリジナル教材を用意できる点が魅力です。具体的には、以下のようなシーンで活用されています。

・集合研修の既存教材をeラーニング化したい
マニュアルをeラーニング化したい
部門単位教材を作ってLMSに登録し、教育を展開できるようにしたい
・LMSの導入後に自分たちでラインナップを増やしたい
・教材の内容を随時更新できるようにしたい

教材作成ツールは多くのLMSベンダーが提供していますので、確認してみてください。

■実績20年以上の教材制作会社がeラーニングの作成方法を1冊にまとめました!
「eラーニング 作り方の教科書」無料ダウンロードはこちら

どの方法でeラーニングコンテンツ(教材)を用意すべき?

自社内で実施したい教育施策によって、どんな方法でeラーニング教材を用意すべきかは異なります。

eラーニング教材コンテンツの調達方法を押さえたら、教育施策ごとにどの調達方法が適しているか、検討してみましょう。

教育施策が多岐にわたる場合はeラーニング学び放題サービスがおすすめ

以下は教育体系のサンプルです。

◆教育体系サンプル

教育施策は教育の種類目的、学習者の階層職種などによって実にさまざまです。その一つひとつについて、市販されている教材をチェックして当てはめ、カスタマイズや内製を検討していくのは大変です。

そこでおすすめなのが、豊富なラインナップを取り揃えているベンダーの力を借りることです。多岐にわたる教育施策を網羅的にカバーできるeラーニングコンテンツ提供サービスを利用することで、多くの階層での社内教育を一気に進めることができるようになるでしょう。

ライトワークスでは、1,000タイトル以上のeラーニング教材コンテンツを提供しており、定額受け放題のサービスもご用意しております。

eラーニング受け放題サービス「まなびプレミアム」について詳しく見る

例えば当社にご相談いただいた場合、以下の領域でeラーニング教材のご提案が可能です。

◆eラーニング教材のご提案可能領域

もちろん、自社でのすべての教育施策が全てeラーニングだけでできるわけではありません。ただ、この時点でベンダーと相談することで、既製品のeラーニング教材コンテンツ購入で適用可能な施策が見えてくるはずです。

既製品でカバーできない部分は自社オリジナルのeラーニング教材作成を検討する

同時に、用意されているeラーニング教材のカスタマイズをすることで、より効果を望める教育施策も見えてくるかもしれません。豊富なラインナップを構えるeラーニングベンダーは多くの事例を持っていますから、他社がどのような教育施策を実施しているか、ぜひ聞いてみましょう。

その上で、そのベンダーの教材ではカバーできない部分については、オーダーメードや内製を検討すればよいわけです。ライトワークスでは、企業様のオリジナルeラーニング教材制作サービスeラーニングコンテンツ作成ツールのご提供も行っています。

同じ品質・レベルの教材を調達するなら、一つのベンダーにまとめて発注した方が手続き上効率的ですし、価格面でも優遇を受けやすくなります。オーダーメードや内製のための教材作成ツールについても、教育体系の全体像を踏まえて同時に相談ができるので、「かかりつけのeラーニングベンダー」を作っておくとよいでしょう。

そのベンダーに自社に必要な教材がない場合は、他のベンダーの教材で補填するとよいでしょう。先にも述べましたが、規格さえ合えば、複数のベンダーの教材コンテンツを1つのLMSで運用することが可能です。

eラーニングベンダーの中には、語学や特定の資格などに特化した商品・サービスを提供しているところも多くありますので、部分的により高度もしくは専門的な教育をしたい場合は、「かかりつけ」と別の「専門医」を探し、そこから教材コンテンツを調達したり、カスタマイズの相談をすることも可能でしょう。

eラーニング大百科

教育担当がこっそり開くパーフェクトガイド

eラーニングの運用を成功させる方法・簡単に魅力的な教材を作る方法・失敗しないベンダーの選び方など、eラーニングを成功させるための具体的な方法や知識を全70ページに渡って詳細に解説しています。

まとめ

いかがでしたか?
教材コンテンツの調達方法と、教育施策に適用する際の考え方を整理してみました。

教材コンテンツの主な調達方法には、以下の4パターンがあります。

(1)既製品を購入する
(2)既製品をカスタマイズする
(3)教材をオーダーメイドする
(4)教材を自社で制作する

自社の教育施策にeラーニング教材を導入するには、施策ごとにどのような教材が適しているか、検討する必要があります。このとき、ラインナップの豊富なeラーニングベンダー相談し、(1)→(4)の順にスクリーニングに掛けていくとよいでしょう。

もっとも、コスト面を重視する場合は、(4)は必ずしも最終手段とは限りません。社内の資料を元に、全ての教材を内製することも、不可能ではないでしょう。

より高度もしくは専門的な教育をしたい施策については、その分野に特化した教材を提供しているベンダーを探してみるとよいでしょう。

大切なのは「自社に最適な教育施策を実現すること」です。教材コンテンツについてもベンダーについても、ぜひ柔軟に考えて施策に活かしましょう。特に「かかりつけのeラーニングベンダー」については、その知見を活用し尽くすつもりで色々相談してみることをおすすめします。

私達もそのつもりで、お問い合わせをお待ちしております!