「便利に使えて操作が簡単なオンライン研修ツールを選びたい」

新型コロナウイルスの影響でオンライン研修(WEB研修)の需要が高まり、すでに導入している、導入を検討している企業も多いようです[1]

実地型の集合研修と異なり、オンライン研修にはWeb会議システムの活用が必要不可欠です。しかし、Web会議システムには多くの種類があります。どれを選べば良いのか迷っている、あるいは、もっと使い勝手の良いものがあれば乗り換えたいとお考えの教育担当者もいらっしゃるのではないでしょうか。

本稿では、企業のオンライン研修に向いている5つのツール特徴と、選定のポイントを紹介します。ぜひ選定の参考にしてください。

[1] 「【調査結果】「オンライン研修」実施状況アンケート結果」,『All About NEWS』,2020年5月22日,https://news.allabout.co.jp/articles/p/000000020.000011579/ (閲覧日:2021年1月7日)
調査期間:2020年5月12日(火)~ 2020年5月15日(金)、回答者数:774名(698組織)株式会社ビジネスコンサルタントの調査では、2020年5月時点で、49.8%の企業がオンライン研修を実施または導入を決定。

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コロナ禍で注目のオンライン研修

2020年以降、新型コロナウイルスの影響により、従来実施してきた実地型の集合研修は開催しにくくなってしまいました。一方で、オンライン研修は場所を問わず、テレワーク中の自宅でも受講可能なことから、その代替手段として急激に需要が高まり、注目されています。

オンライン研修の概要については、以下の関連記事をご参照ください。

オンライン研修と実地型の集合研修はさまざまな点で異なる部分があるため、オンライン研修でも実地型と変わらない成果を出すには、企画ややり方に工夫が必要です。

オンライン研修と実地型の集合研修の最も大きな違いは、オンライン研修にはWeb会議システムが必要なことと言えるでしょう。次章からWeb会議システムについて詳しく見ていきましょう。

オンライン研修を実施するために必要なツール

講師と受講者がリアルタイムでコミュニケーションを取る双方向型のオンライン研修では、Web会議システムが必要不可欠です。どのようなものがあるのか、以下で見ていきましょう。

Web会議システム5選

Web会議システムはさまざまなものがありますが、ここでは企業のオンライン研修に利用しやすいものを、無料版に絞ってご紹介します(2020年12月1日現在の情報に基づく)。

(1) Zoom
(2) Microsoft Teams
(3) Google Meet
(4) Cisco Webex Meetings
(5) Remo

Web会議システムの使い方や詳細については、以下の関連記事をご確認ください。

(1) Zoom

充実した機能と誰でも使いやすい仕様で、知名度が高く人気のWeb会議システムです。一時期セキュリティ面の危険性が取りざたされましたが、現在はほぼ対策がとられ、心配なく使用できるとされています[2]

急ぎで無難なWeb会議システムを選定したいという場合は、Zoomは最有力候補と言って良いでしょう。ただし、無料版のミーティング時間制限は40分とやや短めなので注意が必要です。

Zoomの主な特徴は以下のとおりです。

・ホストのみアカウント取得が必要
・ブレイクアウトルーム(グループワーク機能)が利用できる
・招待や参加の仕方が簡単
・最大100人まで参加可能
・最大40分までミーティングが可能(3名以上の場合)

参考)Zoom 公式サイト https://zoom.us/jp-jp/meetings.html

(2) Microsoft Teams

Microsoft Teamsは「Microsoft 365」や「Office 365」に含まれているアプリのため、導入済の場合は有料版の機能が利用できます。

無料版の主な特徴は以下のとおりです。

・ホスト(講師)のみアカウント取得が必要[3]
・チャネル(グループ)を複数作成すればグループワークが可能
・最大300人まで参加可能
・最大24時間ミーティングが可能
・WordやExcel、Power PointといったOfficeアプリと連携し、共同作業ができる
・リアルタイム字幕(英語のみ)

参考)Microsoft Teams 公式サイト
https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/microsoft-teams/group-chat-software

(3) Google Meet

もともと「G suite」の機能の一部として提供されていましたが、新型コロナウイルスの影響でWeb会議の需要が高まったことを受け、単体の無料サービスとして利用できるようになりました。

主な特徴は以下のとおりです。

・ホストも受講者もGoogleアカウントの取得が必要(G suiteユーザーでない場合)
・最大100人まで参加可能
・Googleカレンダー、Gmailと連携できる
・ミーティング時間は無制限(2021年3月31日まで)
・リアルタイム字幕(英語のみ)

参考)Google Meet公式サイト https://meet.google.com/

(4) Cisco Webex Meetings

世界でトップクラスのシェアを誇るCisco Webex Meetingsは、慣れない人でも直感的に利用できる仕様です。対応言語も豊富で、よりスムーズな会議の進行やコミュニケーションをサポートしやすくなっています。

主な特徴は以下のとおりです。

・ホストのみアカウント取得が必要
・ブレイクアウトセッション(グループワーク機能)が利用できる
・最大100人まで参加可能
・最大50分までミーティングが可能
・26言語に対応

参考)Cisco Webex Meetings公式サイト https://www.webex.com/ja/index.html

(5) Remo

Remoはオンラインのカンファレンスサービスです。無料版は提供されておらず、14日間無料トライアルのみとなっています。

主な特徴は以下のとおりです。

・ホストのみアカウント取得が必要
・最大50人まで参加可能
・最大5時間までミーティングが可能
・話したい人がいるテーブルをクリックするだけで気軽に話せる

参考)Remo 公式サイト https://remo.co/

上記でご紹介したWeb会議システムは、いずれも一般的なオンライン研修が可能な機能が備わっています。

その上で、Web会議システムと連携可能なアプリがあるものであれば、研修だけでなく、前後の教育や業務も効果的・効率的に進めやすくなるでしょう。

例えばMicrosoft TeamsはOffice、Google Meetは他のGoogleのアプリと連携することができます。

アプリだけでなく、実はLMS(Learning Management System:学習管理システム)にもWeb会議システムと連携できるものがあることをご存じでしょうか。次項で見ていきましょう。

2-2. LMSと連携すればより充実したオンライン研修・人材育成が可能

Web会議システムとLMSを連携することで、オンライン研修の実施に関する管理業務をスムーズに行い、さらに、研修以外の人材育成に関する事柄を体系的に管理することができます。

例えば、当社のLMS 「CAREERSHIP®」では、研修の申請承認フローの設定リマインドの自動化受講者の申請状況・成績の一覧化などが可能になります。

戦略人事」が注目されているように、これからの人事部には、より経営戦略に貢献することが求められます。ゆくゆくは研修だけでなく、その管理を含む人材育成全体をオンライン化し、データの活用により効果・効率アップすることは必須になると言えるでしょう。

[2]加山恵美「Zoomのセキュリティ脆弱性、ユーザー情報流出は本当か?日本法人マネージャーが答える。」,『EnterpriseZine』,2020年4月30日,https://enterprisezine.jp/article/detail/12909(閲覧日:2021年1月6日)

[3] 受講者がアカウントを持たない場合、一部の会議には参加できません。また、ゲスト参加の場合、Teams 会議の一部の機能を使用できません。
「Teams のアカウントなしで会議に参加する」,『Microsoft』,https://support.microsoft.com/ja-jp/office/teams-%E3%81%AE%E3%82%A2%E3%82%AB%E3%82%A6%E3%83%B3%E3%83%88%E3%81%AA%E3%81%97%E3%81%A7%E4%BC%9A%E8%AD%B0%E3%81%AB%E5%8F%82%E5%8A%A0%E3%81%99%E3%82%8B-c6efc38f-4e03-4e79-b28f-e65a4c039508 (閲覧日:2021年1月15日)

Web会議システムを選定するポイント

前章でご紹介したWeb会議システムは、いずれも企業のオンライン研修に向いているものです。では、Web会議システムを選定する際は、どのようなことを基準に選定すればよいのでしょうか。

一つ目は、企画を実施するのに必要な機能や環境が揃っているかです。受講対象者が全員参加できるか(参加人数制限)や、企画内容を実施でき時間内に収まるか(グループワークやアンケート等の機能があるか、接続時間の制限)などをまずは確認しましょう。

例えば、企画にグループワークが含まれていれば、ブレイクアウトルーム機能のあるWeb会議システムに候補が絞られます。そこで仮にZoomを選定する場合、無料版ではミーティング時間は40分に制限されています。そのため、時間内に可能な企画を準備する、複数回に分けて開催する、有料版を購入する、他のWeb会議システムを検討するなどの対応が必要になります。

二つ目は、受講者の受講環境です。例えば、自宅にPCがなく、スマートフォンしか持っていない従業員がいたとします。スマートフォンで受講する場合、スペック不足やWeb会議システムと相性が悪いことで、うまく動作しないこともあり得ます。スマートフォン対応と明記しているWeb会議システムを選定するか、事前にスマートフォンで接続や動作を確認しておくなどの対応が必要です。

オンライン研修の企画を作るコツ、事前準備や本番の進行ポイントなどの詳細は、以下の関連記事をご参照ください。

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まとめ

オンライン研修は、新型コロナウイルスの影響で実施が難しくなった実地型の集合研修の代替手段として需要が高まり、注目されています。

オンライン研修には、Web会議システムの利用が不可欠です。

企業のオンライン研修に利用しやすく、無料版があるWeb会議システムには、以下のようなものがあります(2020年12月1日現在)。

(1) Zoom
(2) Microsoft Teams
(3) Google Meet
(4) Cisco Webex Meetings
(5) Remo

また、Web会議システムとLMSを連携することで、オンライン研修の実施に関する管理業務をスムーズに行い、さらに、研修以外の人材育成に関する事柄を体系的に管理することができます。

Web会議システムを選定するポイントは、以下のようなものがあります。

・企画を実施するのに必要な機能や環境が揃っているか
・受講者の受講環境はどうか(スマートフォンしか持っていないなど)

自社の従業員やオンライン研修の企画に最適なWeb会議システムを選定し、オンライン研修の質と効果を高めていきましょう。

参考)
「オンライン研修に役立つサービス比較8選|メリット・デメリットを徹底解説」,『HR NOTE』,2020年12月3日,https://hrnote.jp/contents/b-contents-onlinekensyuu-190130/
(閲覧日:2021年1月7日)
Synapse Consulting「オンライン研修ではどのツールを使えばよいのか?」,2020年4月1
9日,https://cyber-synapse.com/business-knowledge/online_marketing_training/online_training_tools_20200419.html(閲覧日:2021年1月7日)
「オンライン研修とは?実施のメリットからおすすめの配信ツールまで細かく紹介!」,『Web Media』,2020年9月30日,https://www.itra.co.jp/webmedia/online-training.html(閲覧日:2021年1月7日)
「オンライン研修のコツとやり方!【zoom等の無料システムも紹介】」,2020年4月24日/2020年4月28日更新,https://kaijosearch.com/article/online-kenshu/(閲覧日:2021年1月7日)