レジリエンス研修

レジリエンス研修は、ストレスがかかった時に素早く立ち直り、前向きに対処する力を身につけるための研修です。レジリエンスは後天的に身につけられる能力であり、変化するビジネス環境において重要なスキルとして注目されています。

レジリエンスとは

レジリエンス研究の第一人者であるペンシルベニア大学ポジティブ心理学センターのカレン・ライビッチ博士は、レジリエンスとは「逆境から素早く立ち直り、成長する能力」と定義しています。

ライビッチ博士は、レジリエンスを構成する要素として、以下の8つを挙げています。

1. 自己認識
2. 自制心
3. 精神的敏速性
4. 楽観性
5. 自己効力感
6. つながり
7. 生物学的要素（遺伝子）
8. ポジティブな社会制度（家族、コミュニティー、組織など）

上記のうち7.生物学的要素（遺伝子）と8.ポジティブな社会制度（家族、コミュニティー、組織など）以外は、後天的に育むことのできる心理的要素です。

レジリエンス研修では、これらの要素をうまく組み合わせることで、ストレスや逆境に遭遇したときも柔軟に対処し、素早く立ち直ることを学びます。

VUCA時代と呼ばれる現代では、社会を取り巻く環境が目まぐるしく変化し、予測できない逆境に見舞われる可能性が高まっています。ストレスや逆境を成長の糧とするレジリエンスのスキルは、予測不可能な現代のビジネス環境において、今後ますます必要になると考えられます。

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〔ポジティブ心理学〕レジリエンスとは　折れない心を作る6つの要素

企業がレジリエンス研修を実施する目的には、以下のようなものが挙げられます。

ストレス耐性を高めるため

厚生労働省が令和4年に実施した調査によると、メンタルヘルスの不調で1カ月以上休職、または退職した従業員がいた企業の割合は13.3％でした。10社中1社はメンタルヘルスの不調による休職や退職者を出していることになり、見過ごせない割合です。

レジリエンス研修では、逆境をポジティブに捉える思考法を学ぶことで、ストレス耐性を高めます。従業員のストレス耐性が高まることにより、メンタルヘルスの悪化による休職や退職といったリスクを防ぐことができます。

また、レジリエンスの高い人材が増えると人間関係にポジティブな影響を及ぼすため、ストレスを感じにくい職場環境の構築に繋がります。

パフォーマンスを安定・向上させるため

メンタルヘルスの状態は、仕事のパフォーマンスにも影響を及ぼします。安定したパフォーマンスを発揮するためには、ストレスに左右されないよう心身をコントロールする術が必要です。

レジリエンスを身につけると、ストレスを受けてもすぐに立ち直ることができるため、安定したパフォーマンスが発揮できるようになります。また、商談などプレッシャーがかかる場面では本来の能力が発揮しやすくなり、営業力強化にもつながります。

さらに、レジリエンスが高い状態ではモチベーションが高まり、新しいことに積極的にチャレンジしやすくなるため、パフォーマンスの向上も期待できます。

変化するビジネス環境に対応するため

変化の激しいビジネス環境に対応していくためには、今までの常識にとらわれず、新たな価値観や環境に適応する柔軟性が求められます。

レジリエンス研修では「～に違いない」「～しなければ」といった思考のワナに気づき、違った視点で物事を捉えることを学びます。こうしたトレーニングによって柔軟な発想力が磨かれるため、逆境や環境の変化に強くなり、目まぐるしく変化するビジネス環境にも適応できるようになります。

企業はレジリエンス研修を、ストレス耐性の強化やパフォーマンス向上、新たなビジネス環境に対応する力を身につけるなど、さまざまな目的で実施しています。個人や組織全体の強靭さを養い、より健康で持続可能な働き方を実現するために、レジリエンス研修の導入を検討してはいかがでしょうか。

参考：厚生労働省「令和4年　労働安全衛生調査（実態調査）　結果の概要」