あなたの会社では効果的にeラーニングを活用できていますか?

「ベンダーおすすめのパッケージプランを導入したから大丈夫だろう」
「一通りのラインナップを用意しているのだから、興味のあるものから受講してくれるだろう」 

そんな考えで、どこか漫然とした教育を行っていませんか?

eラーニングは人材育成のための教育ツールとして確実にビジネスの世界に広まってきていますが、企業によって活用の仕方は様々です。自社課題に対して最適な形でeラーニングを活用するには、誰(どの部門)が主管となり、どんなテーマで、誰を対象にしてeラーニングを活用するか、しっかりと目的に合わせて最適化した教育プランを練る必要があります。 

しかし、教育プランをゼロから考えるのは大変です。

そこで、本稿ではeラーニングの代表的な活用モデルを6つご紹介します。
いずれも実際に企業で行われている教育施策を元にまとめたものです。まずはこの6つの活用モデルの抽象度で理想の人材に必要な教育確認してから、具体的なカリキュラム選定行うことで、無駄なく簡単に精度の高い教育プランを作り上げることができるでしょう。

 ぜひ、あなたの会社の教育プラン作成の参考にしてください。

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全社教育:一括配信で運用を省力化

まず挙げられるのは、全社規模で行われる研修です。テーマとしては、コンプライアンス情報セキュリティなど、CSR制度対応にかかわるものがあるでしょう。自己啓発を目的として、多様な科目を取り揃えて提供している企業もみられます。

全社員向けの教育を集合研修からeラーニングに置き換えることは、まず大幅なコスト削減につながります。基本的には海外配信も可能ですので、海外拠点を含むグループ全体のスタッフに一律の教育内容を配信することができます。

教材については、情報セキュリティやコンプライアンスなど、標準的な内容のものであれば既成のeラーニングを利用できますが、自社特有の事例を盛り込みたいといったニーズもよくみられます。その場合は、制作会社に開発を依頼するか、教材作成ツールを導入して自社で作成することも可能です。

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また、全社教育では、経営理念の共有にeラーニングを活用する例もみられます。従業員のモチベーション向上エンゲージメントの確立は、生産性を追求する現代の企業にとって大きな課題です。経営理念やビジョンについて経営トップが自ら語る動画作成し、eラーニング教材化して全社員向けに配信するといった施策は、縦割りの組織構造を飛び越え、会社の思いを個々の従業員に直接届けられるという点で、大きな効果が期待できます。

階層別教育:集合研修と併用して効果的な教育を実現

階層別教育は、従業員の成熟度に合わせて用意される教育のことです。内定者教育新人教育入社4-5年目教育新任管理職研修中間管理職研修などなど、各社が様々な切り口で、その階層に必要な教育を定義し、研修を行っています。年功序列を前提とし、手厚い教育を行ってきた日本の企業において、教育部門が最も手間とコストをかけてきたのは、この分野といえるでしょう。

昨今、年功序列は見直されつつありますが、次世代リーダーの育成待ったなしです。世界で通用する人材を育てるべく、一部の企業では新人の時代から研修を通じてリーダーの選抜が行われています。企業における階層別教育は、年功序列に適合した教育から次世代リーダーの育成フォーカスしたものに変容してきていると言えるでしょう。

理想の人材を自社で育成するために、eラーニングは様々に活用されています。例えば、集合研修や実地研修の予習が挙げられます。基礎的な知識は事前にeラーニングで学んでもらい、集合研修や実地研修ではワークや実践的な学習に集中してもらうのです。
また、自動採点式のテストとしての利用もさかんです。集合研修後の確認テストや、昇格試験の一環として活用されている例もあります。

最後に、階層別教育でよく利用されているeラーニングの科目を挙げてみます。
いずれも、集合研修と組み合わせたブレンディッドラーニングにしたり、SNSを活用してWeb上でディスカッションを行うなど、他の教育手法と組み合わせることで、より高い教育効果を期待することができるでしょう。

語学教育:実務に合わせて必要な学び方を選択

語学教育は、eラーニングが早くから活用されてきた分野です。標準的な教材コンテンツを使用する場合は、双方向性に限界がありますので、単語や構文の学習、確認テスト等が中心となります。学習し、知識の定着を図るというものです。

ただ、近年は実践性がより重視されるようになったこと、テレビ会議システムが発達したことから、講師との対面式のオンラインレッスンが増えてきています。ITを用いていますので、これも広義のeラーニングといえます。この場合、教材コンテンツは階層別教育の場合と同様に、対面レッスンの予習復習、確認テスト等に活用できます。

グローバルビジネスを展開する場合、カウンターパートとなる外国人は英語のネイティブとは限りません。アジア進出を目指すなら、相手はむしろ非ネイティブの場合が多いでしょう。この場合、ビジネス上の意思疎通に必要な単語、構文、言い回し等は、一般的な英会話よりも限定的になります。

学ぶ範囲「非ネイティブとのビジネス」に限り、オンラインレッスン教材コンテンツを組み合わせて学習を進めるプログラムは、スピードと実用性が求められるシーン有効です。

また、会話ではなく、英語のビジネス文書メールの書き方など、基本的なルールが定まっている分野であれば、教材コンテンツだけで学習することができます。海外派遣研修を行っている企業では、現地入りの事前学習としてこれらのプログラムを実施しているところがあります。

また、接客業界では、外国人顧客対応のため、店舗スタッフの英語力強化に乗り出している企業が少なくありません。とはいえ、英会話を一から学んでもらうのは時間もコストもかかります。そこで、自社のサービス提供に必要な単語やフレーズだけを集中的に学習させるための教材を開発する例がみられます。

考え方は前掲の「非ネイティブとのビジネス」英会話に似ていますが、学ぶ範囲をさらに自社のサービスに限定している点が異なります。

中には、店舗にタブレットを配布し、その画面にその時々で必要な和文/英文を表示させるという仕組みを導入しているところもあります。聞き取りはある程度できなければなりませんが、店舗スタッフは自分自身が喋れなくても、タブレット上の回答文をお見せするか、音声が組み込まれている場合はそれを再生することで、お客様の質問や要望にお答えできます。

商品教育:スピーディな現場展開で接客の質を向上

接客・小売系の業界では、eラーニングによる商品教育も徐々に普及しています。定期的にリリースされる商品の基礎情報競合製品との差別化ポイント、セールストークなどを盛り込んだ教材を店舗スタッフ向けに配信し、接客に役立ててもらうというものです。

最近は、教材制作を外注するのではなく、教材作成ツールを使って自社で行う企業が増えています。パワーポイントで作成した教材社内で撮影した動画を、教材作成ツールを使ってeラーニングに変換し、LMS(Learning Management System、学習管理システム)に搭載すれば、低コスト簡単配信を行うことができます。

この仕組みのメリットは、スピーディな情報共有コスト削減です。
まず、新商品の情報をメールやFAXで各店舗に送ったり、商品企画部が全国行脚して説明したり、といった手間が省けます。また、メールやFAXで資料を送付した場合は、店舗に届いた後、店長がスタッフに共有してくれているかどうか、スタッフがきちんと見てくれているかどうか、把握ができません。一方、eラーニングなら受講履歴があるので、各店舗の閲覧状況が分かります。

店舗スタッフが正確な商品知識を持っていることは、接客サービスの質向上につながり、ひいては売上につながります。eラーニングの活用モデルとしては、かなり実務・実益に近い例といえるでしょう。

職種別教育:専門分野の知識修得を支援

商品教育と同様に、教材コンテンツの教材作成ツールが発達したこともあり、自社特有の専門知識が必要な分野にeラーニングを適用する例が増えています。

例えば店舗スタッフの接客マナー。お辞儀や挨拶のしかた一つが差別化のポイントになりうる接客・小売業界では、独自の接客スタイルを大切にしている企業が少なくありません。こうした、ブランドイメージの体現ともいえる分野では、動画を用いて、体の動きやお客様にお声掛けする際のイントネーション、表情などを伝える教材が有用です。

また、技術職であれば部品の説明機材のオペレーション方法など、マニュアルとしての利用が想定できます。単純な電子マニュアルと違うのは、やはり受講履歴が取れることです。

eラーニングの配信にあたっては、必須で受講すべき教材任意受講でよい教材、という風に、対象者によって受講の必要度合いを調節することができます。今すぐ身に付けておくべき知識補完的に知っておくとよい情報、将来的に必要となる知識は、職種や本人の技術的なレベルによって異なります。

職種や年次、保有している資格等によって教材コンテンツの難易度や受講必須レベルを調節することで、本人のキャリアアップを支援することができるのです。

このように、専門分野における知識共有スキルアップにeラーニングを活用する例は、小売、医療、メーカーなどの業界にみられます。

タレントマネジメントへの活用:スキルを見える化して人材配置を最適化

eラーニングを用いたスキルアップの仕組みを人材管理に役立てようという試みが、タレントマネジメントへの活用です。タレントマネジメントは人材の能力を把握・育成し、最適な配置を実現することを目的としていますが、育成を主目的とするものではありません。そこで、育成のパートにeラーニングを活用する例が増えているのです。

例えば、ある職種に必要なスキルセット(=タレント)を定義します。そのうち、知識を中心とした個人学習で修得できるものについてはeラーニングを、それ以外については集合研修OJTを適用して、教育プランを作成します。

これをパッケージとして受講してもらうことで、スキルアップ促します。修得したと判断できる状態になったら、求められるタレントを有する人材として、活用配置検討することができるようになるのです。

この仕組みを実現する最良の方法は、LMSとTMS(タレントマネジメントシステム)を併用することです。TMSは、人材管理という面では豊富な機能を持っていますが、育成にフォーカスして作られたものではないため、eラーニングや集合研修等の運用という点では効率性に欠くケースが散見されます。また、コストの問題で全社員にライセンスを配布することが難しいケースもみられます。

そのため、LMS教育全般を運用し、TMSデータ連携して集計・分析を行い、新たな打ち手につなげるという仕組みが、当面の最適な形といえるでしょう。

なお、ライトワークス社のLMS「CAREERSHIP®」は、eラーニングに加えて、集合研修スキルセットの管理機能を有しています。タレントマネジメントシステムを導入していなくても、その思想に則った形で人材の育成を行うことが可能です。

eラーニングとアクセス制限

eラーニングは様々に活用できますが、受講する場所や時間利用端末に配慮が必要な場合があります。例えば以下のようなケースです。

社外秘の情報が含まれる教材を社外で受講させたくない
セキュリティ上、個人端末での受講を禁止したい
・受講を就業時間内に限定したい

こうした課題は、eラーニングの管理システムであるLMSのアクセス制限機能を使って対処することが可能です。例えば「社内のパソコンからしか受講できない」状態を作れば、情報セキュリティや労務管理上の問題を回避できるでしょう。

CAREERSHIP®では、こうした設定を教材単位で行うことができます。

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まとめ 

いかがでしたか?

eラーニングの活用モデルとして、全社教育、語学教育、階層別教育、商品教育、職種別教育、タレントマネジメントへの活用をご紹介しました。

一口にeラーニングといっても、目的によって活用方法は様々です。しかし、共通して言えることもあります。それは、どの施策も教育の標準化、業務の標準化、生産性の向上を目指しているということです。

いずれも、現代ビジネスの大きな課題である人材不足とグローバル化への対策に他なりません。eラーニングは単なる学習ツールではなく、ビジネス上の課題を解決するためのソリューションなのです。

今後、人材の能力開発にこれまで以上に効率的かつ効果的な仕組みが求められることは確実です。特に、次世代リーダーの育成は会社の将来を握る鍵となります。eラーニングは活用の仕方次第で、自社が理想とする人材の育成に大きく貢献してくれるでしょう。

ぜひ、これを機会に、自社課題に対するeラーニングの活用イメージを具体化してみてください。