リモートワークの普及やDX化の影響から、近年では多くの企業で「eラーニング」が導入され始めています。しかし企業や社員の中には「意味がない」「効果がない」という声もあり、導入に対してお悩みの方もいらっしゃるでしょう。

eラーニング効果を高めるためには、適切な環境の整備が必須です。そこで本記事では、eラーニングが「意味がない」と言われる理由や改善方法、効果を高めるためのポイントについて解説します。eラーニング導入を検討中の方は、ぜひ参考にしてみてください。

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eラーニングの運用を成功させる方法・簡単に魅力的な教材を作る方法・失敗しないベンダーの選び方など、eラーニングを成功させるための具体的な方法や知識を全70ページに渡って詳細に解説しています。

eラーニングは「意味がない」と感じる理由

企業や社員にとってeラーニングは「意味がない」と感じられる理由として、以下の5つが挙げられます。

  1. コンテンツの時間が適切でない
  2. その場で疑問を解決できない
  3. 特定のデバイスやOSしか対応していない
  4. eラーニングの内容が実務に活かせない
  5. 労働時間外に受講せざるを得ない

1.コンテンツの時間が適切でない    

他者の目がある講座形式とは異なり、1人で画面を見続けるeラーニングは、1コンテンツあたりの時間が長すぎると集中力が保てなくなります。その結果、早送りや読み飛ばしが増えたり、不正受講となったりしてeラーニングの効果が低下してしまいます。

eラーニングの1コンテンツあたりの時間は、30~60分で設定されていることが一般的です。しかし動画自体は30分でも、受講者に前提知識がなかったり複雑な内容だったりすると、一時停止をして調べるなどの手間が発生し、受講時間は大幅に長くなります。そのため、適切な順番で知識を得られるようなカリキュラム設定や、適切な時間内に収まるようなコンテンツを作成することが重要です。

2.その場で疑問を解決できない

eラーニングでは、事前に作成した動画を講座として配信し、受講者がPCやスマートフォンなどで受講するのが一般的です。自身のペースで学べることは大きなメリットですが、講師にリアルタイム質問することはできません。そのため、長時間の講座や内容が複雑な場合は、受講者の理解が深まらず学習効果が低下します。

対策として、短時間反復学習しやすい講座を作成することや、他の研修手法組み合わせることが大切です。

3.特定のデバイスやOSしか対応していない

eラーニングが特定の環境でしか受講できないと、習熟度の低下不満につながります。例えば、「特定のシステムを利用しないと受講できない」「専用ソフトが必要」などの場合は受講ハードルが上がってしまうでしょう。また、eラーニングのシステムが扱いづらい場合も、学習意欲の低下につながります。

4.eラーニングの内容が実務に活かせない

eラーニングは「動画を視聴する」という性質上、インプットがメインとなる研修が多い傾向があります。アウトプットの機会が少ないため、具体的に実務に活かす場面と結びつかない場合もあるでしょう。eラーニング単体だけでなく、他の研修と組み合わせることで、eラーニングの効果が高まります。

5.労働時間外に受講せざるを得ない

企業の指揮命令による研修の受講は、基本的には「労働時間」としてカウントされます。しかし、eラーニング研修については、労働時間外での受講となっているケースも珍しくありません。社員が自分の時間を割いてeラーニングに取り組む場合は、モチベーション低下して知識が定着しづらくなります。

本来eラーニングは時間や場所に縛られずに学べる便利な媒体なので、自社で規則・ルールを設けて運用することが大切です。eラーニングの受講時間が労働時間に含まれるかについては、次の記事も合わせてご参照ください。

eラーニング研修の効果を高めるポイント

eラーニング研修の効果を高めるために、以下の3つのポイントを意識しましょう。

  • 短時間で受講できるコンテンツを作る
  • 早送りや読み飛ばしなどを防止する
  • モバイル端末のアクセス環境を整える

短時間で受講できるコンテンツを作る

eラーニング研修の効果を高めるためには、とにかく「最後まできちんと視聴してもらう」ことが大切です。長く濃いコンテンツが学習効果を高めるわけではないので、むしろ短時間で完結できるショートコンテンツを意識しましょう。

また、人間の集中力最大限に保たれる時間は15分前後だといわれているため、短時間の学習を重ねる「マイクロラーニング」が注目されています。そのため、15分ごとに区切りや休憩が取れるように、コンテンツ細分化することも効果的です。マイクロラーニングについては、次の記事も合わせてご参照ください。

早送りや読み飛ばしなどを防止する

eラーニングのデメリットのひとつが、読み飛ばし流しっぱなしなどの不正受講ができてしまう点です。自由な時間・場所で学べるという性質上、社員がきちんと学習しているか確認することは困難です。

そこでeラーニングシステムの「LMS(学習管理システム)」が役立ちます。サービスによっても異なりますが、早送りシークバー操作などを禁止できる場合は、不正受講を防いで学習効果を高めやすくなるでしょう。LMS(学習管理システム)については、次の記事も合わせてご参照ください。

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LMS(学習管理システム)とは?専業ベンダーが基礎から選定ポイントまで徹底解説

モバイル端末のアクセス環境を整える

現在では、スマートフォンやタブレット端末が普及しているため、eラーニング研修もモバイル端末対応することが望ましいとされます。モバイルデバイスに対応すると、社員が好きな時間に学べるため、コンテンツに触れる機会モチベーションを改善できます。なおモバイル端末に対応する場合は、セキュリティ対策も重要になります。

eラーニング研修へのモチベーションを高めるコツ

eラーニング研修に対する社員のモチベーションを高めるために、以下の3つのコツを押さえておきましょう。

  • LMSで学習管理やフォローを適切に行う
  • eラーニングへの取り組みを人事評価に反映する
  • 他の研修手法と組み合わせて実施する

LMSで学習管理やフォローを適切に行う

eラーニング研修は自由度が高い一方、受講者の学習・進捗管理が難しいことがあります。そこで「LMS」の活用がおすすめです。LMSでは、受講者それぞれの受講状況を確認し、テストの結果を反映したフォローを行うことができます。受講者自身も習熟度把握しやすくなるので、学習意欲が高まるでしょう。

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eラーニングへの取り組みを人事評価に反映する

eラーニング研修は、正答率視聴時間・本数など、学習成果を数値化しやすいことが特徴です。そのため、eラーニングに対する社員の取り組みを考慮して、人事評価反映させる仕組みを作ることで、学習意欲のさらなる向上につながるでしょう。

他の研修手法と組み合わせて実施する

eラーニングは「インプット」中心の研修のため、グループワークOJT研修など、対面で行う他の研修と組み合わせることでより効果的な研修になります。基礎知識の習得や習熟度の強化などの目的でeラーニングを導入すると、社員が効果を実感しやすくなるでしょう。

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まとめ

eラーニング研修は、活用方法次第でコストを押さえ効果の高い研修を実施することができます。その際、コンテンツの時間を短縮する、LMSによって適切に学習管理サポートを行うなどの工夫が必要です。

また、eラーニング研修と、OJTグループワークなどの研修を組み合わせると効果的です。研修内容によって使い分けることで効率的に研修を実施できるので、この機会にぜひ導入を検討してみてください。