企業の研修ではさまざまな資料が使われます。近年ではオンライン研修やセミナーが増えたことで、パワーポイントを用いた資料作成が求められる場面も増えました。

しかし、いざ作るとなった際に「作り方がわからない」「見やすくする方法を知りたい」という悩みを持っている方もいるのではないでしょうか。

この記事では、研修資料の作り方分かりやすくするためのポイントについて解説します。研修の効果をより上げたい担当者の方はぜひ参考にしてみてください。

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研修資料を作る目的とは

そもそも研修資料とは何のために作成するのでしょうか。

研修資料を作る目的は、主に2つあります。

  • 口頭で理解しにくい点をフォローするため
  • 研修後の復習材料にするため

それぞれについて解説していきます。

口頭で理解しにくい点をフォローするため

研修資料があれば、口頭で説明された内容理解を深めることができます。たとえば、表やグラフなどの数字のデータは、口頭で説明されただけでは比較すべき部分や数値変動が瞬時にわかりにくく、覚えるのも難しいでしょう。その際、説明を補足する研修資料があることで内容を一目で理解することができ、解説に紐づく情報も確認できます。

研修後の復習材料にするため

資料を作成すると、研修当日だけではなく、その後の受講者が復習する際にも役立ちます。

説明を聞いただけでは研修の内容について理解が及ばない点もあるでしょう。資料を持ち帰って復習し、その後の実践と振り返りを繰り返すことで、知識が定着し磨かれていきます。

資料作成前にすべきこと

研修資料はいきなり作り始めるのではなく、以下の内容を確認したうえで作成に進みましょう。

  • 目的とテーマを設定する
  • 研修の全体像を決める
  • 情報収集・整理する

目的とテーマを設定する

資料の作成前に、研修を開催する目的やテーマを明確にしておく必要があります。目的やテーマを明確にしておくことで、情報を選ぶ際の基準を定めることができ、過不足なく情報を入れられます。

また、目的やテーマを決めるにあたって、受講者が抱えている課題点必要とするスキルの把握もしておくとよいでしょう。自社での研修であれば、社内の意見をヒアリングして情報収集するのも有効です。聞き手が求める情報を資料に落とし込むことで受講者の満足度学習意欲も上がります。

研修の全体像を決める

研修の全体像を組み立てます。大枠が決まらない状態でスライドや資料を作成すると、論点がずれたり論理が破綻したり、伝えたい内容がぶれてしまいます。

また、全体像を決めるうえではどのような順序で研修をするかも重要です。「イントロダクション(導入)ボディ(本題)クロージング(まとめ)」の3部構成でアウトラインを作るとよいでしょう。

情報収集・整理する

メインテーマに沿って必要な情報を収集し、精査します。その際、情報の根拠となる出典元引用元などの情報も欠かせません。情報を集めたうえで、過不足がないように整理しましょう。資料の順番によっても伝わり方に差が生まれるため、情報量とともに順番整理も重要です。

研修資料の作り方3つのステップ

資料を作る際、以下の3ステップを踏むとよいでしょう。これらを順番通りに実施することで、伝わりやすい資料になります。

  1. 目的・テーマにあった資料の概要を作る
  2. 文章や図の下書きをする
  3. 完成後は入念にチェックする

1.目的・テーマにあった資料の概要を作る

はじめに設定した目的・テーマに合わせて資料のアウトラインを作成していきます。研修で伝えたいテーマに基づいた情報キーワード根拠となるデータなどを羅列して書き出します。集めた情報を受講者のポジションや状況に応じた内容に選定・取捨選択し、構成を組み立てます

2.文章や図の下書きをする

次に、文章や図・表の作成に入ります。文章は極力、一文一義にするのが重要です。多くの情報を伝えようとするほど冗長になりやすいため、ポイントを絞るのがよいでしょう。この段階で、どこにどのようなグラフや図解を入れるかも決めておきます。

図やグラフは最初から完璧に仕上げるのではなく、ある程度の要素を入れた下書きにとどめておき、後から完成度を高めていきましょう。

3.完成後は入念にチェックする

図や画像を挿入文字の装飾ができたら、誤字脱字抜けもれがないかを必ず入念にチェックします。印刷して読む音読する、時間を置いてから見直す、他のメンバーにダブルチェックしてもらうなどが有効な手段です。

第三者の客観的な意見が入ることで、より受講者に伝わりやすい資料へのブラッシュアップが期待できます。

見やすい研修資料作成のポイント

研修資料の作り方を踏まえ、より見やすい資料にするにはどのようにすればよいのでしょうか。制作のポイントは以下のとおりです。

  • 1スライド1メッセージにする
  • 図やグラフなどの要素を入れる
  • 色は3色程度、装飾は最低限にする
  • 余白のあるデザインにする
  • オブジェクトの配置を揃える
  • フォント・文字サイズに統一感をもたせる

1スライド1メッセージにする

1枚のスライドに載せるメッセージはいくつも盛り込まず、できれば1つに絞るようにしましょう。情報がびっしりと記載されたスライドでは、受講者はどれが重要な情報なのかわからず迷ってしまいます。

また、紙にプリントする場合は、何枚かのスライド1枚縦に並べてプリントし、横にメモを取るような余白スペースを作るとスッキリまとめられます。

図やグラフなどの要素を入れる

テキストだけではなく、図やグラフといった要素も入れましょう。数字やデータは、口頭だけで説明されても理解しにくいものです。適切なグラフや図を作成し、受講者が直感的に理解しやすくなるような工夫を凝らしましょう。

色は3色程度、装飾は最低限にする

資料の色や、文字装飾は最低限の使用にとどめましょう。

装飾がふんだんに使われ、カラフルな資料はインパクトがあるように思われますが、かえって情報の重要度が伝わりにくくなり、視点が散漫になってしまいます。そのため、色は多くても3色程度におさめ装飾は重要なポイントに絞るなどのメリハリをつけることで見やすい資料になります。

余白のあるデザインにする

研修資料のレイアウトを考える際、意識的余白を作りましょう。特にテキストベースの資料では、文字を詰め込みすぎることで読みにくくなり、伝わりにくい印象をあたえます。そのため、タイトルと本文の間、行間など余白を設定することで、必要な情報が見やすくなります。

また、配布する資料には、受講者が書き込めるようなメモスペースとしての余白を作成するのも有効です。

オブジェクトの配置を揃える

資料に掲載する文章・図といったオブジェクトは、バランスよく揃えて配置します。文章の位置データの場所矢印画像の高さなどにバラつきがあると読みにくくなるためです。オブジェクトがページやスライドをまたぐ場合も、レイアウトを揃える統一感があり見やすい資料となります。

フォント・文字サイズに統一感を持たせる

研修資料においては、フォントサイズの使用ルールを決めておくことで統一感が出ます。明朝体などは人によっては読みづらさを感じてしまうため、ゴシック体メイリオを使うケースが一般的です。

また、文字サイズに関してはすべて同じではなく「タイトル見出し本文注釈」それぞれに大小の差をつけます。情報にメリハリがつき、視認性が高くなります。

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まとめ

研修資料の作成には、誰にどんな内容で・どのような行動を促すかの目的をあらかじめ決めておくことが大切です。また、目的とテーマが決まった後すぐに作成に移るのではなく、構成・情報整理・推敲手順をふむことで受講者に伝わりやすい資料ができます。

見やすい資料にするには、文章や図の配置フォント装飾などは極力シンプルに、伝えたいポイントを絞って作成することが重要です。内容が伝わりやすい資料ができれば、受講者にとって研修内容をより一層理解する助けとなるでしょう。