マイクロラーニングで自律学習を促進!人材育成への活用方法も解説
マイクロラーニングは1~5分、長い場合でも10分程度のコンテンツを、スマホやタブレットで学習する手法です。社会人など忙しい人でも空いた時間を有効活用して効率的に学べる方法として注目されています。
また、単に優れた学習方法の一つというだけでなく、さまざまな場面において人材育成を効果的・効率的に進めるツールとしての活用も考えられます。
変化が速い時代、最新の知識もすぐに古くなってしまいます。企業としての競争力を高めるためにも、忙しくても常に学び続ける方法は非常に重要になるでしょう。
本稿では、マイクロラーニングの特徴、メリットとデメリット、活用シーン、学習効果を高めるコツなどをご紹介します。ぜひ参考にしてください。
目次
マイクロラーニングとは
マイクロラーニングとは、1~5分程度の短いコンテンツを、 パソコンやスマートフォンなどで学習する手法のことです。一度の学習に30分~1時間かかる従来型の e ラーニングよりもコンパクトで、より手軽に学習できるという特徴があります。
忙しくてもちょっとした隙間時間を使って学習を進められるため、着手する際のプレッシャーが少なく、習慣化に役立ちます。
すでに身近な所でもマイクロラーニングが導入されており、Web上で見られる「1分程度のレシピ動画」「3分で分かる〇〇の方法」などもマイクロラーニングの一種と言えます。
マイクロラーニングの由来
マイクロラーニングの起源は、eラーニングにあります。eラーニングは1990年代のアメリカに始まり、日本では2000年に政府が発表した「e-Japan構想」をきっかけに本格的に普及し始めました。
その後、デバイスの普及やIT技術の進化などにより、目的や形態に応じたさまざまなe ラーニングの形が誕生しました。そして、その一つがマイクロラーニングです。
eラーニングには以下のようなものがあります。
・マイクロラーニング:短いコンテンツで反復学習を狙うeラーニング
・モバイルラーニング:スマートフォンやタブレットを用いたeラーニング
・ゲーミフィケーション:ゲーム形式で学ぶeラーニング
・ソーシャルラーニング:SNSやメディアを活用したeラーニング
マイクロラーニングが注目されるきっかけになったのは、ATD(Association for Talent Development)が2017年に米国アトランタで開催した「2017 International Conference & EXPO」です。
ATDは、1943年にアメリカで設立された世界最大の人材・組織開発に関する会員制組織(NPO)です。ATDが主催するセミナーや国際会議には、世界各国の企業の人事部、コンサルタント、研究者、教育機関・行政機関のリーダーなどが集います。
その一つ、「2017 International Conference & EXPO」において、ATDのCEOであるトニー・ビンガム氏が「今年のキーワード」として「マイクロラーニング」を取り上げたことから、注目を浴びるようになりました。
マイクロラーニングと従来のeラーニング の違い
マイクロラーニングには、従来のeラーニングとは異なる以下のような特徴があります。
・コンテンツが短く区切られている
・1話完結型である
・スマートフォンでも学習できる
・コンテンツを制作しやすい
その他も含め、マイクロラーニングとeラーニングの違いを表にまとめました。
表1)従来のeラーニングとマイクロラーニングの違い
マイクロラーニング 「隙間時間の学習」 | 従来のeラーニング(マクロラーニング) 「本格的な学習」 | |
時間 | 1~5分、長くても10分程度 | 30分~1時間 |
技術 | PPTベースで作成したアニメーション、または動画が主流 | Flashなど特殊技術での制作には専門スキルが必要 |
制作期間 | 1~2週間 | 3ヵ月 |
制作費 | 5万~10万円/1本 | 300万~500万円/1本 |
内製のしやすさ | 〇 | × |
メンテナンスのしやすさ | 〇 | × |
用途 | ・要点を絞った学習、反復学習 ・身近な伝達 ・マニュアルやルールなどの共有 | ・体系的、長期的な学習 ・スキル向上 ・資格取得 |
特徴 | ・1話完結型コンテンツ ・スマートフォンでの閲覧が容易 ・アクセスしやすい | ・PCでの受講が望ましい ・コンテンツのボリュームが多い |
このように、マイクロラーニングは従来のeラーニングと比較して学びやすいことはもちろん、制作や管理もしやすいという特徴があります。
マイクロラーニング教材のサンプル
以下の動画は、弊社が制作したマイクロラーニング教材のサンプルです。1つの学習カリキュラムが短い動画複数本に分割されています。
動画をご覧いただくと、教材1本ごとの学習がごく短時間で完了することが分かります。
昼休憩や通勤の間に生じたスキマ時間にも十分学習可能なことがお分かりいただけるのではないでしょうか。
マイクロラーニングが注目される理由
「一日平均6~7分」これは仕事に就いている人の平均の学習時間です[1]。「少ない」と感じましたか?それとも「学習できる時間があるだけ良い方だ」と思いましたか?
自身のスキルアップやキャリアアップのため、学習が重要であることは分かっているが、「とにかく時間がない!」というのが日本のビジネスパーソンの悩みではないでしょうか。
また、人材開発部門や教育管理者としては、せっかくeラーニングや通信教育を導入したのに、なかなか従業員の学習の習慣が根付かないという悩みもあるでしょう。
そこで、「物理的に学習時間を増やすのが難しいなら、学習のスタイルを見直そう」というのが、最近のトレンドです。そして、注目されているのがマイクロラーニングです。
冒頭でご紹介した「一日平均6~7分」という情報は、総務省統計局が2016年に行った社会生活基本調査に基づいています[2]。仕事に就いている人が学習や自己啓発にかける時間は1日24時間のうち、10分にも満たないのが現実です。
仕事やプライベートで忙しい現代のビジネスパーソンが、毎日まとまった学習時間を確保するのは簡単ではありません。
また、フレックスタイム制やテレワークを導入する企業が増え、従業員を1カ所に集める集合研修の実施が難しい場合もあります。
このような状況でも、マイクロラーニングを活用すれば学習や教育を進めやすくなります。
忙しいビジネスパーソンのライフスタイルにマッチする学習方法
従来型のeラーニングは想定学習時間が30分~1時間程度のものが多く、学習者はパソコンの前に座ってじっくり学習する必要がありました。
しかし、マイクロラーニングなら通勤時間、昼休み、家事の合間、休憩時間といった隙間時間を活用して学習できます。
学習時間は一般的に1~5分程度ですが、明確な定義はなく、10分程度まで含まれることもあります。短い分、学習内容がコンパクトにまとめられ、要点が分かりやすくなっている点も特徴です。
ミレニアル世代の社会進出とモバイル機器の普及
マイクロラーニングが注目される背景には、ミレニアル世代の社会進出とその行動特性の影響があるとされています。ミレニアル世代とは、2000年以降に成人、社会人となる世代です。
物心が付いた頃からモバイル機器を使い、欲しい情報にすぐにアクセスできる環境に慣れているミレニアル世代は「モノ」より「コト」を重視する傾向にあります。そのため、短時間で学習できるマイクロラーニングとの親和性も高いといえます。
加えて、スマートフォンやタブレットの所有が一般的になり、通信やネットワークの技術が発達したことで、外出先でも気軽にWeb上のサイトや動画を見られるようになりました。
近年では、高速大容量、低遅延、他接続が可能な通信システム5Gのサービスが開始され、マイクロラーニングもさらに進化していく可能性があります。
[1] 総務省統計局「平成28年社会生活基本調査―生活時間に関する結果―」,p.30-33,2017年9月15日,https://www.stat.go.jp/data/shakai/2016/pdf/gaiyou2.pdf(閲覧日:2022年6月6日)
[2] 総務省統計局「平成28年社会生活基本調査結果」,p.30-33,2017年9月15日,https://www.stat.go.jp/data/shakai/2016/pdf/gaiyou2.pdf(閲覧日:2022年6月6日)
マイクロラーニングのメリット
マイクロラーニングには以下のようなメリットがあります。
- 自律学習を促進できる
- 隙間時間で学習・復習できる
- 学習効果が高い
- 教材の制作・変更が容易
それぞれを解説していきます。
自律学習を促進できる
「自律学習」とは、学習者が自分の学習の理由・目的を明確化し、内容や方法を選択して、学習計画に基づいて行動することと定義できます。
しかし、ビジネスパーソンにとって、自主的かつ継続的に学習を続けるのは簡単ではありません。
ある調査によると、学習が継続できない理由としては、「忙しくて時間が取れない」「成果が感じられない、難し過ぎた」「コロナで通えない、生活が変わった」などが挙げられています[3]。
マイクロラーニングには、どこでもコンパクトに学習できる利点があり、従業員の自律的学習の促進に大変効果的と言えます。
隙間時間で学習・復習できる
マイクロラーニングの学習時間は1~5分程度と短いので、通勤・移動中や休憩中などの隙間時間に利用できます。デスクでじっくり長い時間をかけるよりも、学習を身近に捉えられ、日常生活に組み込みやすい学習スタイルです。
学習効果が高い
ある実証実験では、15分×3(計45分)の学習が、60分×1よりも効果が高いという結果が出ています[4]。マイクロラーニングも短時間の学習を積み上げていくスタイルです。
また、モバイル機器で簡単に利用できるため、通常のeラーニングよりも学習の継続が期待できます。復習にかける時間も短時間で済み、反復学習がしやすいので、知識の定着も進みやすくなります。
つまり、マイクロラーニングには、学習を習慣化させ、そのことを通じて知識の定着を促す効果が期待できます。
従業員教育にマイクロラーニングを導入することで、社内に学習する文化を根付かせていくことも可能です。業務に関する知識だけでなく、価値観や事例の共有などにも役立ちます。
教材の制作・変更が容易
マイクロラーニングは学習コンテンツがコンパクトなので、1回の制作が短時間で済み、制作の負担が少ないのも特徴です。
また、メンテナンスが必要になった場合も、長編型のコンテンツのように部分修正の後、全体を調整し直したりする必要がありません。対象のコンテンツだけを修正すればよいので、手間も少なく済み、バージョン管理も簡単です。
[3] リクルートマネジメントソリューションズ「【調査発表】会社員の自律的な学びに関する実態調査」,https://www.recruit-ms.co.jp/press/pressrelease/detail/0000000345/(閲覧日:2022年6月7日)
[4] 朝日新聞DIGITAL「勉強時間は短い方が好成績?」,http://www.asahi.com/ad/15minutes/(閲覧日:2022年6月6日)
マイクロラーニングのデメリット
マイクロラーニングにはメリットだけでなく、以下のようなデメリットも存在します。
- 長時間学習が必要なカリキュラムには向かない
- 詳しい説明が困難
- 数が多いので管理が大変
詳しく見ていきましょう。
長時間学習が必要なカリキュラムには向かない
500時間以上の学習時間が求められるような学習量の多い資格試験対策などに対して、マイクロラーニングだけで対応するのは厳しいでしょう。
例えば、1回5分のマイクロラーニングを1日に3回計15分利用した場合、1年での学習時間は0.25時間/日×365日=91.25時間です。
つまり、500時間程度必要な学習には5年以上もかかることになってしまい、試験対策などの学習としては適切とはいえません。
全体的な学習は従来型のeラーニングで行い、重要なポイントの簡潔な説明や復習としてマイクロラーニングを採用するといった工夫をするとよいでしょう。
詳しい説明が困難
特定の理論や事例を丁寧に説明するようなケースでは、短いコンテンツを前提としたマイクロラーニングで対応するのは困難です。
例えば、経営課題に関する事例を学習テーマとする場合、問題点や解決方法の解説に長時間の動画や多くの文字・ページ数が必要となることがあります。
難解なロジックや考え方、事象の背景などを詳しく説明する必要がある学習には別の学習方法(コンテンツ)を利用し、その要点の整理や確認テストなどにマイクロラーニングを活用するのが有効です。
数が多いので管理が大変
マイクロラーニングは、短いがゆえに数が増える傾向があります。ちまたの教育ベンダーのサービスでも、何百タイトル、何千タイトル規模のものがあります。
ラインナップが充実していても、学習者が「自分に必要なコンテンツはどれなのか」を見極め、そのコンテンツにたどり着くことができなければ、意味がありません。
マイクロラーニングの運用には、検索性に優れ、レコメンド機能を持つ優秀なシステムが必要です。これにより、学習者はストレスなく最適なコンテンツを見つけることができ、結果として学習が促進されます。
マイクロラーニングの具体的な活用例
マイクロラーニングには、以下のような活用例があります。
- 従業員に学習の習慣を付ける
- 覚えることが多い新入社員の教育
- 教育コストが高い管理職の教育
- 新しい知識のインプット
- 語学教育
- 技術・スキルの継承
- 学習履歴を活用した施策
一つずつ解説します。
従業員に学習の習慣を付ける
「学ぶ風土」作りは人材育成に欠かせない要素です。マイクロラーニングは時間的にも気力・体力的にも負荷が少ないので毎日の習慣にしやすく、「学ぶ風土」作りを促進します。
覚えることが多い新入社員の教育
新入社員には、ビジネスマナーや業界の専門知識、自身の業務に関する知識など、実際の仕事をする前に覚えることがたくさんあります。
例えば、実際の名刺交換の場面、飲食店の場合なら接客や調理の仕方などを動画で学習できれば、具体的な知識やイメージが定着しやすく、集合研修や実際の業務指導がよりスムーズに進められます。
教育コストが高い管理職の教育
管理職には、それまでとは異なる知識やスキルが求められるようになります。しかし、管理職を何度も1カ所に集めて研修をするのは日程調整が難しく、コストも高く付きます。
かといってOJTにばかり頼っていると、指導役との調整が難しく業務が滞ってしまうリスクがあります。
個人学習で可能な部分、例えば経営戦略やマネジメントの基礎知識などをマイクロラーニングで効率良く学べるようにすれば、コストや現場への影響を抑えることができます。これは、集合研修やOJTに臨む前提知識の統一にもつながるので効果的です。
新しい知識のインプット
変化の速い時代、常に新しい知識をインプットすることは非常に重要です。制作・メンテナンスをしやすいマイクロラーニングは、頻繁な情報の更新に向いています。チームや部署で同じコンテンツを使用すれば、情報が誤って伝わることもありません。
知識やスキルの標準化ができ、組織としてのパフォーマンスアップが期待できます。例えば、小売業の各店舗での新商品の情報共有などに役立つでしょう。
語学教育
外国人労働者の言語問題は深刻です。接客や従業員同士の意思疎通のためにも、語学教育はますます重要になるでしょう。
マイクロラーニングは外国人従業員向けの日本語学習はもちろん、日本人従業員の語学学習にも役立てることができます。
技術・スキルの継承
熟練者の技術やスキルは属人的になりがちで、企業にノウハウとして蓄積されず、その従業員の転職・退職などで失われてしまうという問題があります。
動画などを使ってその内容をマイクロラーニングの教材にしておくと、企業が情報資産として直接的に管理できるようになり、次世代への継承もスムーズになります。
経験の浅い従業員は、知りたい部分や理解が十分でない部分のコンテンツを選んで、効率良く学習することができるため、より早く熟練者レベルに近づけるでしょう。
学習履歴を活用した施策
たくさんの学習項目(章や節)で構成されている長編型のeラーニングの場合、学習の進捗状況を確認したり結果を分析したりするためには、履歴情報の中から該当データを抽出する作業が必要です。
その点、マイクロラーニングではコンテンツが細かく分かれているので、履歴情報が読み取りやすく、集計が容易です。
また、どのコンテンツを選んで学習したのかによって、学習者の興味や強化の必要性を感じている分野をスピーディに把握できます。
こうしたデータは、個人の育成プランの検討やキャリア相談、組織全体の傾向把握や教育計画の材料として活用できます。
このように、マイクロラーニングは日々の学習以外にもさまざまな目的で活用できます。その「小ささ」ゆえに、手軽かつ柔軟に施策に取り入れられる点が特長です。
マイクロラーニングによる学習効果を高めるコツ
先に、マイクロラーニングは使い方次第で高い学習効果を期待できると解説しました。ここでは、そのためにどのような点に注意すればよいか、ポイントを整理します。
- コンテンツを1話完結型にする
- 他の教育方法と組み合わせる
- 適切な配信システムを利用する
1つずつみていきましょう。
コンテンツを1話完結型にする
マイクロラーニングは短時間で少量を学習するものなので、1話完結型が望ましいです。いくつか連続して受講する必要がある場合、続きを見る暇がないと学習が中途半端のまま止まってしまう上、復習にも時間がかかるため、効率が悪くなります。
他の教育方法と組み合わせる
全ての学習や教育をマイクロラーニングに置き換えることはできません。他の方法と組み合わせ「いいとこどり」をすると、より効果を高めることが可能です。
例えば、集合研修やOJTの予習・復習にマイクロラーニングを利用する、時間が取れるときは従来型のeラーニングでじっくり学習し、忙しいときはマイクロラーニングで少量を復習するなどが考えられます。
適切な配信システムを利用する
短いコンテンツを多頻度で学習するマイクロラーニングを導入する場合、適切な運用や管理を実施するためのシステムが必要です。
YouTubeや社内ファイルサーバーで事足りる場合もありますが、教材や学習の管理、情報漏えい対策、従業員教育担当者の負担などを考慮すると、配信システムを導入する方が効率的です。
配信システムは、学習者がストレスなく簡単に教材にアクセスでき、自主的に学びやすいものを選びましょう。
マイクロラーニングは内製とサービス利用どちらが良い?
コンテンツを自社で制作してコスト削減したい、と考える方も多いでしょう。マイクロラーニングのコンテンツは自作できるのか、サービスを利用した方がよいのか、詳しく解説します。
コンテンツは自作も可能
コンテンツを自社で制作することは可能です。例えば、仕事の手順について動画で学習させたいなら、手順を解説した動画を作り、YouTubeなどにアップして視聴するように周知すればよいのです。
手軽にコンテンツを制作できるのがマイクロラーニングの強みです。しかし、企業の人材育成に活用する場合、当然ながら安易にYouTubeや一般のSNSを使うわけにはいきません。
また、誰がどれだけ学習したのか把握したい(学習管理)、本当に理解しているか把握するため確認テストもしたい、などオプションを希望するのであれば、システムの導入が必要になります。
自社で適切な配信システムを整備するのが難しい場合、サービスを利用するのが有効です。
サービス利用の費用はどのくらい?
マイクロラーニングのサービスを利用する場合、費用は気になるポイントの一つです。しかし、サービスや利用人数によってかなり異なるため一概にはいえません。
マイクロラーニングとテスト機能などの使用で月額数千円~数万円の場合もあれば、学習管理機能や多言語展開、ワークショップや各種コンサルタントを含め一式で数十万円~数百万円の場合もあります。
マイクロラーニングのサービスには無料トライアルが可能なものも多いので、いろいろ試してみるのもよいでしょう。
LMS(Learning Management System、学習管理システム)を利用している場合は、それをマイクロラーニングに利用できるかどうか、ベンダーに確認することをお勧めします。
主なマイクロラーニングのプラットフォーム
マイクロラーニングのサービスには、すでに学習コンテンツが用意されているものや、コンテンツの制作・配信に特化したものがあります。
この章では3つのサービスをご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
マイラ
マイラは、動画によるマイクロラーニングを提供する従業員教育インフラです。ITトレンドから一般教養まで幅広いラインナップがあり、全コンテンツ見放題の一定期間定額方式です。
株式会社アイ・ラーニング,「「マイラ」のご案内」,https://www.i-learning.jp/topics/myla.html(閲覧日:2022年6月8日)
UMU(ユーム)
UMUは、動画、テキスト、音声を組み合わせて新しいコンテンツをすぐに作ることができる、マイクロラーニングを含む教育プラットフォームです。集合研修中の質問や意見のリアルタイム共有、AIによるフィードバックなど、さまざまな機能を備えています。
ユームテクノロジージャパン株式会社「ABOUT UMUとは?」,https://umujapan.co.jp/about/(閲覧日:2022年6月8日)
PIP-Maker
PIP-Makerは、最短5分で音声付きの動画を制作、公開することができる動画制作ソフトです。PowerPointの資料をアップするだけで動画が完成し、選択式の問題やアンケートを組み込むこともできます。
株式会社4COLORS「PIP-Maker」,https://www.pip-maker.com/(閲覧日:2022年6月8日)
一般的なLMSでも、マイクロラーニングの条件を備えたeラーニング教材を運用することは可能です。また、教材制作支援ツールを使えば、社内の資料を基にオリジナル教材の制作もできます。
まとめ
マイクロラーニングとは、1~5分程度の短いコンテンツをパソコンやスマートフォンなどで学習する手法のことです。
マイクロラーニングはeラーニングの一種です。eラーニングには他にも、モバイルラーニング、ゲーミフィケーション、ソーシャルラーニングなどがあります。
マイクロラーニングと従来のeラーニングには、以下のような違いがあります。
・コンテンツが短く区切られている
・1話完結型である
・スマートフォンでも学習できる
・コンテンツを制作しやすい
マイクロラーニングには、以下のようなメリットがあります。
・自律的学習を促進できる
・隙間時間で学習・復習できる
・学習効果が高い
・教材の制作・変更が容易
マイクロラーニングのデメリットには、以下のものがあります。
・長時間学習が必要なカリキュラムには向かない
・詳しい説明が困難
・数が多いので管理が大変
マイクロラーニングは以下のような場面で活用できます。
・従業員に学習の習慣を付ける
・覚えることが多い新入社員の教育
・教育コストが高い管理職の教育
・新しい知識のインプット
・語学教育
・技術・スキルの継承
・学習履歴を活用した施策
マイクロラーニングの学習効果を高めるポイントは以下の通りです。
・コンテンツを1話完結型にする
・他の教育方法と組み合わせる
・適切な配信システムを利用する
コンテンツは自社で作成することが可能です。ただし、学習管理やテスト機能などのオプションを希望する場合は配信システムの導入が必要になるため、サービスの利用がお勧めです。
マイクロラーニングの主なサービスとして、以下の3つをご紹介しました。
・マイラ
・UMU(ユーム)
・PIP-Maker
変化が速く激しい時代、常に学び続けることは企業の競争力を高めていくために大変重要です。
そのためには自社に「学ぶ風土」を醸成する必要があり、これは人材育成における最重要課題ともいえます。これを機に、マイクロラーニングの活用を検討してみてはいかがでしょうか。
参考)
総務省統計局「平成28年社会生活基本調査―生活時間に関する結果―」,p.30-33,2017年9月15日,https://www.stat.go.jp/data/shakai/2016/pdf/gaiyou2.pdf(閲覧日:2022年6月6日)
リクルートマネジメントソリューションズ「【調査発表】会社員の自律的な学びに関する実態調査」,https://www.recruit-ms.co.jp/press/pressrelease/detail/0000000345/(閲覧日:2022年6月7日)
朝日新聞DIGITAL「勉強時間は短い方が好成績?」,http://www.asahi.com/ad/15minutes/(閲覧日:2022年6月6日)
株式会社アイ・ラーニング,「「マイラ」のご案内」,https://www.i-learning.jp/topics/myla.html(閲覧日:2022年6月8日)
ユームテクノロジージャパン株式会社「ABOUT UMUとは?」,https://umujapan.co.jp/about/(閲覧日:2022年6月8日
株式会社4COLORS「PIP-Maker」,https://www.pip-maker.com/(閲覧日:2022年6月8日)
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