「新入社員研修」は、企業に入社した新入社員を対象に行う研修です。企業の安定的な成長には、従業員のスキルが欠かせません。新入社員研修を実施することで、新入社員が「活躍人材」として成長しやすくなります。

しかし、新入社員研修の効果をより高めるための手法や、効率的に人材を育成する方法が分からず悩まれている方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、新入社員研修の内容や効果を高めるポイントを解説します。新入社員研修でお悩みの方はぜひ参考にしてみてください。

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新入社員研修に関する
アンケート調査結果

研修受講者と企業の人事担当者にそれぞれ実施した新入社員研修アンケート調査(2023年10月実施)の結果を1冊にまとめました。ぜひ研修実施・改善にご活用ください。

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新入社員研修に関するアンケート調査結果

新入社員研修で教えるべき内容とは?

「新入社員研修」とは、自社に新しく入社した社員を対象に行う研修です。配属先で業務を行うために必要なスキルを身につけることが目的で、入社後すぐ行われることが一般的です。ただし、教えるべき内容は以下のように、新卒採用と中途採用の場合で異なります。

新卒採用の場合:基本スキルやビジネスマナーを教える

「新卒採用」の場合は、ビジネスパーソンとしての基本的なスキルやマナーから教えます。新卒採用の新入社員の大半は、社会人として働いた経験がありません。そのため、まずは社会人として身につけておくべき知識を、網羅的に習得してもらいます。

中途採用の場合:即戦力になるためのスキルを教える

「中途採用」の場合は、即戦力になるためのスキルやノウハウを教えます。中途採用の新入社員は、社会人としての知識やマナーはすでに身につけている場合がほとんどです。そのため、自社の経営理念や業務内容を理解してもらい、即戦力化を目指すことが大切です。

新入社員研修の適切なタイミングと期間

新入社員研修は、適切なタイミングと期間で行うことで、研修の効果が高まります。特に意識すべきポイントについて解説します。

タイミングは入社直後がベスト

新入社員研修は、新卒・中途いずれも「入社直後」に行うことが大切です。新入社員研修の主な目的は業務遂行に必要な知識・スキルの教育なので、現場に配属する前に行わなければ意味がありません。

新卒採用の場合は社会人経験がないことから、自社の企業理念・業務内容を浸透させやすい傾向があります。研修内容の定着度を高めるために、入社前に「内定者研修」を行う企業もあります。

研修期間は新卒・中途で異なる

新入社員研修の期間については、新卒と中途で異なります。新卒採用の場合は基本的なビジネスマナーから教える必要があるため、3か月〜半年ほど研修期間を設けることが一般的です。一方で、中途採用の場合はビジネスマナーなどの研修を省けるため、フォローアップ期間を含めて1か月〜3か月ほどの研修期間が目安となります。

他社の新入社員研修はどう実施されている?
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新入社員研修の基本的な内容(カリキュラム)

新入社員研修の基本的な内容として、以下の5つが挙げられます。

  • 自社の企業理念やビジョン
  • ビジネスマナーとスキル
  • 論理的な思考力
  • 配属先で必要とされる実践的なスキルと知識
  • コンプライアンスとハラスメントへの理解

自社の企業理念やビジョン

新入社員が自社の一員として働くためには、自社の理念や事業目的への理解が欠かせません。同じ価値観や方向性を共有することで、新入社員は自身の役割を認識して目標を設定しやすくなります。仕事への誇り・やりがいが芽生えることで、離職防止にもつながるでしょう。

ビジネスマナーとスキル

社会人にはさまざまな場面でビジネスマナーが求められます。社会人経験がない新卒採用者には、身だしなみ・言葉遣い・名刺交換など、基本的なマナーの教育が必要です。また、パソコンの操作やプレゼンの方法など、業務に欠かせないビジネススキルの教育も行います。

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コミュニケーション力

ビジネスパーソンが働く中では、社内・社外を問わず多くの関係者とのコミュニケーションが不可欠です。そのため、コミュニケーションスキルを学べる研修も新入社員研修で実施すべきカリキュラムといえるでしょう。

近年は自身のコミュニケーション力に自信がない新入社員も多いため、コミュニケーション研修を実施することで満足度向上も期待できます。

例えば上司と新入社員でロールプレイングを行いフィードバックする、チームに分かれてディスカッションを行うなどの方法があります。
また、eラーニングを活用することでビジネスパーソンとして求められるコミュニケーションスキルを体系的に学ぶことができます。

論理的な思考力

ビジネスシーンでは、物事の根拠や因果関係を考えるべきシーンが多々あります。そのため、新入社員に「論理的思考力」を身につけてもらうことが大切です。例えば、取引先に対して自社製品の魅力を伝えたいとき、筋の通った論理でアピールできれば商談に結び付きやすくなるでしょう。

配属先で必要とされる実践的なスキルと知識

新入社員に現場で活躍してもらうには、配属先の部門に合わせた実践的な知識・スキルの習得が必須です。マーケティング部・情報システム部・法務部など、専門性が高い部署に配属される場合は、新入社員研修によるレベルの引き上げが欠かせません。

コンプライアンスとハラスメントへの理解

2022年より、中小企業含むすべての対象企業で「パラーハラスメントを防止するための雇用管理上の措置」が必要になりました。従業員が不適切な言動やハラスメントでトラブルを起こすと、企業イメージの失墜につながりかねません。こうしたリスクを防ぐため、部門や職種に関わらず「コンプライアンス」と「ハラスメント」の理解を深める研修が欠かせません。

新入社員研修の代表的な手法

新入社員研修の代表的な手法として、以下の6つが活用されています。

  • OJT
  • OFF-JT
  • ケーススタディ
  • グループワーク
  • メンター制度
  • フォローアップ研修
  • eラーニング

OJT

「OJT(On the Job Training)」は、実務を行いながら必要な知識・スキルを伝える手法です。新入社員研修では、1人の指導役が1人の新入社員に対して、1対1で指導することが一般的です。ただし、指導役の能力がOJTの成果に影響を与えるため、指導役に対する研修も必要になります。

OFF-JT

「OFF-JT(Off the Job Training)」は、実務から離れた場所で教育する手法です。例えば、新入社員を集めて一斉に研修したり、外部のセミナーを受講したりする講習などを指します。すべての新入社員を同じように教育できるため、新入社員の知識・スキルを均一化できます。

ケーススタディ

「ケーススタディ」は、実際に現場で起きた事例からノウハウを学ぶ手法です。例えば、クレームへの対処法や人為的ミスの予防など、実務に役立つスキルが身に付きます。「問題解決能力」「論理的思考」「洞察力」などを身につけることのできる方法です。

グループワーク

新入社員研修でのグループワークは、チームビルディングや仲間と協力しての問題解決能力の向上を目的としています。
参加者は小グループに分かれ、実践的な課題解決や企画案の創出をおこないます。これにより、コミュニケーション力、リーダーシップ、そして創造性を養います。

メンター制度

「メンター制度」は、先輩社員が新入社員をサポートする手法です。一般的には、新入社員と異なる部署チームから指導役が選ばれ、指導役を「メンター」、新入社員を「メンティー」と呼びます。年齢の近いメンターが選ばれるため、業務や人間関係の悩みを相談しやすいうえに、メンター側の成長も促せることが魅力です。

フォローアップ研修

「フォローアップ研修」は、新入社員研修から一定期間が経過したあとに、改めて受講者を集めて行う研修です。研修以降の実務を振り返り、その時点で必要な知識・スキルを身につけることが目的です。

eラーニング

「eラーニング研修」は、パソコンやスマートフォンなどの端末から、遠隔で受講できる研修手法です。時間と場所に制限されず、すべての受講生に同じ研修を提供できるため、研修の効果が均一に出やすいことが魅力です。

新入社員の満足度が高い研修形式とは?
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新入社員研修の設計方法・フロー

新入社員研修の設計は、以下の3つのポイントを意識して行いましょう。

  • 必要な知識やスキルを洗い出す
  • 研修カリキュラムの内容と順番を決める
  • 研修の実施と振り返りを行う

必要な知識やスキルを洗い出す

自社および配属先の部門が新入社員に求める、必要な知識やスキルを洗い出しましょう。経営陣や現場の従業員にヒアリングを行うことで、新入社員が習得すべきものを明確化できます。このステップを適切に行えば、新入社員研修の効果が高まるでしょう。

研修カリキュラムの内容と順番を決める

新入社員研修の効果を高めるには、「何をどのタイミングで教えるか」が重要になります。基本的には以下に示す内容について、順番に進めることが好ましいと考えられています。

  •  自社の企業理念やビジョン
  •  ビジネスマナーとスキル
  •  現場で必要なスキルと知識

まずは、企業理念やビジネスマナーを身につけてもらい、成長意欲・モチベーションを高めます。そのうえで、普遍的な知識や配属先の部門で必要なスキルを教育すれば、新入社員をスムーズに育成できるでしょう。

研修の実施と振り返りを行う

新入社員研修を実施するときは、受講者が内容を理解しているか確認しながら進めることが大切です。例えば、研修の区切りの段階で受講者にレポートの作成やアンケートへの回答を促せば、現状を把握しやすくなるでしょう。得られた情報はカリキュラムの改善のために活かすことが大切です。

新入社員研修の効果を高めるためのポイント

新入社員研修の効果を高めるために、以下の3つのポイントを意識しましょう。

  • 自己効力感が高まるような内容にする
  • 丁寧なフォローとフィードバックを行う
  • eラーニングを導入する

自己効力感が高まるような内容にする

新入社員の「自己効力感」が高まるような内容にすることが大切です。自己効力感とは、「目標を達成するための能力がある」と認知することを指します。例えば、新入社員研修で小さな成功体験を積み重ねる機会を設ければ、受講者の自己効力感は自ずと高まり、自発的な成長も促せるでしょう。

丁寧なフォローとフィードバックを行う

受講者に疑問や不明点が残らないように、きめ細かなフォローやサポートを行うことが大切です。例えば、課題やレポートで理解度を確認したり、相談しやすい雰囲気を作ったりするなどです。リモートワークでは新入社員の細かな変化が分かりにくいため、特に意識的なコミュニケーションやフィードバックを心掛けることが重要です。

eラーニングを導入する

近年では、新入社員研修に「eラーニング」を導入する企業が増えています。eラーニングのメリットは、場所を問わずに実施できることや、受講者が自身のペースで何度でも学習できることなどが挙げられます。研修コストも削減しやすいため、企業と新入社員の双方に魅力的な研修手法だといえるでしょう。

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新入社員研修に関する
アンケート調査結果

研修受講者と企業の人事担当者にそれぞれ実施した新入社員研修アンケート調査(2023年10月実施)の結果を1冊にまとめました。ぜひ研修実施・改善にご活用ください。

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新入社員研修に関するアンケート調査結果

まとめ

企業が新入社員研修を行うことで、自社が必要とする知識・スキルを新入社員が身につけることができます。新入社員を活躍人材として育成し、自社の企業活動に欠かせない人材を確保するためにも、適切な教育を行うことが大切です。

ただし、新卒採用と中途採用では指導すべき内容・期間が異なることや、適切なフォロー・フィードバックを行う必要があることに留意しておきましょう。また、知識やスキルだけではなく、コンプライアンスやハラスメントへの理解を深めるための研修も欠かせません。