研修費用の相場はどれくらい?費用を抑える3つの方法や勘定科目についてご紹介
従業員や企業の成長にとって社員研修は欠かせません。昨今では多様な研修が増えており、平均費用や料金相場などを知った上でよりよい研修を検討したいという方も多いのではないでしょうか。
この記事では研修費用の相場や費用を抑える方法、研修費用の勘定科目について紹介していきます。費用を抑えて効率よく研修を実施したいという方は参考にしてみてください。
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社員研修の平均費用相場
企業の社員研修には平均でどれくらいの費用がかかっているのでしょうか?
産労総合研究所の「2022年度 教育研修費用の実態調査」によると、以下のようになっています。
- 1社あたりの教育研修費用総額(2021年度実績額平均) 5221万円(前年度比+596万円)
- 従業員1人あたりの教育研修費用(2021年度実績額平均) 2万9904円(前年度比+5063円)
従業員数や業種・業界によっても増減があるものですが、研修費用の大まかな予算を検討する際の一つの指標にしてみてください。
参考:
産労総合研究所「2022年度 教育研修費用の実態調査」(閲覧日:2023年9月29日)
一般的な研修の費用
研修はさまざまな種類があり、種類や規模によって費用が異なります。まずは多くの企業で行われている一般的な研修の種類ごとに、研修費用の相場(総額)をご紹介します。
研修種類別費用の相場(総額)
参加人数 | 実施期間目安 | 相場 | |
社員研修などの新人向け研修 | 20~30人 | 1~2週間 | 150万~250万円 |
マネジメント研修 | ~10人 | 2~3日間 | 40万~60万円 |
実務研修(OJT等) | 10~15人 | 2~3日間 | 80万~120万円 |
「新入社員研修などの新人向け研修」に多くの費用がかかっていることがわかります。新人にビジネスマナーや業務知識などを教える研修はほとんどの企業で実施されるため、ここにかかる予算を削減できると費用を抑えやすくなるでしょう。
研修費用の内訳とそれぞれの相場
会場費
集合研修の際には、会場を借りる予算も必要になります。会場の規模や所要時間によって、金額は大きく変動するため、おおよその相場を押さえておきましょう。
会場費の相場(目安)
参加人数 | 相場 |
10人規模 | ~5万円程度 |
50人規模 | 10万~15万円程度 |
100人規模 | 20万~25万円程度 |
また、会場を借りる際には会場費だけでなく、マイクやモニターなどの機材費や、講師やスタッフの控室のレンタル費なども発生する可能性があります。会場費以外の諸経費のことも視野に入れておきましょう。
eラーニングの導入費用
コロナ禍を経てオンライン研修のニーズがさらに高まっています。その一つがeラーニングです。eラーニングのシステム導入時にかかる費用や、月額利用料などの相場もチェックしておきましょう。
eラーニング導入費用と月額費用の相場(目安)
相場 | |
導入初期費用 | 10万~30万円 |
月額費用 | 1000~2500円/ID |
月額費用は、登録者(登録ID)が増加するにつれて1人あたりの金額が割安になるシステムもあります。研修参加者や企業規模に応じて検討するとよいでしょう。
研修費用は会社負担?従業員の自己負担?
企業の研修には上記のように多くの費用がかかります。研修費用の削減を考えた時、すべてを会社が負担するべきなのか気になるかもしれません。ここでは、研修費用がすべて会社負担になるのか、従業員が自己負担するケースなどもあるのかを解説します。
研修費は原則会社負担
研修に関わる費用は原則会社が負担します。業務に不可欠な知識取得やスキルアップは業務の一環とみなされるからです。
そのため、研修の費用は経理処理が必要になります。年度末や期末の経理処理時に困らないよう、研修の参加人数・日数・会場費等の記録を詳細に残しておく必要があります。
従業員に自己負担させる場合
従業員が自主的に、自己啓発や業務に直接的に関わらない研修に参加する場合は、基本的には受講者本人の負担となります。
しかし、法人割引を行っている研修に会社経由で申し込みを行うケースや、研修費用の扱いに関して双方の認識違いによりトラブルが起こるケースもあるため、会社負担の適応範囲を明確に規定しておく必要があります。
研修費用に関して企業が留意しておかなければならないのは以下の2点です。
- 就業規則への明記
- 同意書等の提出
就業規則への明記
研修費用に関する決まりは、想定される事例を基に就業規則に明記しておきましょう。会社負担になる場合と自己負担になる場合のルールを定め、入社時の集合研修等で周知を行います。
同意書等の提出
資格取得に関わる研修の扱いにも注意が必要です。例えば、企業が従業員の資格取得研修の費用を一部負担したにも関わらず、資格取得直後に退職してしまい、トラブルになるケースがあります。トラブルを防ぐためにも、研修費用の負担に関する同意書の作成を行い、互いにルールを理解した上で研修を進めましょう。
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研修費用を抑える3つの方法
次に、費用を抑えて効率よく研修を進める三つの方法をご紹介します。方法は以下の通りです。
- 研修を内製化する
- 助成金を活用する
- eラーニングを利用する
以下に、一つずつ解説していきます。
研修を内製化する
これまで社内で培ってきたスキルを体系化し、教育計画や教材を作成するのも一つの手です。社内資料として使用していたWord・Excel・PowerPointや、オンライン録画していた勉強会などを活用することで、コストを最小限に抑えることができます。
しかし、社内資料用に作成していたものを教材化するには手間がかかる場合があるため、人的リソースの確保が必要になります。
助成金を活用する
従業員の研修を実施する際、助成金を活用することで費用を抑えることも可能です。以下の2つは、厚生労働省が実施している助成金制度です。
a) 人材開発支援助成金:eラーニングを含めた様々な職業能力開発支援の実施に申請可能
b) キャリアアップ助成金:非正規雇用者のスキルアップを行い、正社員化した場合に申請可能
それぞれ活用できるシーンが異なるため、自社が実施する研修に活用できるものはないか、一度確認しておくことをおすすめします。
参考:
厚生労働省「人材開発支援助成金」、「キャリアアップ助成金」(閲覧日:2023年9月29日)
eラーニングを活用する
eラーニングの導入もコストを下げる手段の一つです。システム導入など初期段階でのコストはある程度かかるものの、集合研修でかかる会場費や講習ごとに講師を確保することによる人件費が抑えられるため、効率的なコストカットが可能になります。
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研修費用の経費処理で知っておきたい主な勘定科目
研修費用は会社負担になる場合が多いため、勘定科目についても確認しておきたいところです。以下では、研修費用の主な勘定科目について解説していきます。
研修費用の主な勘定科目は以下の五つです。
- 研修費
- 福利厚生費
- 新聞図書費
- 前払費用
- 雑費
研修費
業務に必要なスキルや技能を修得させるための研修にかかる費用は、「研修費」として計上できます。例えば、新入社員研修や、外部講師を招いて行うビジネスマナー研修の費用などが挙げられます。「教育訓練費」「採用教育費」などと呼ぶ企業もあります。
福利厚生費
業務とは直接関係はなく、自己啓発や資格取得などのセミナー参加費は、「福利厚生費」として計上できます。例えば、スキルアップを目指す従業員の資格取得費用の補助、自己成長を目的とした英会話学習費用の補助などが挙げられます。福利厚生費として処理するには、「全従業員が補助制度を利用できること」「補助額が常識の範囲内であること」のニつの条件を満たす必要があります。
新聞図書費
業務の遂行に必要な参考書籍や雑誌などを購入する際の費用は、「新聞図書費」として計上できます。
前払費用
長期間のセミナーを受講する際、事前にセミナー代を支払う場合の費用は、「前払費用」として計上できます。
雑費
研修自体の頻度が少なく、費用も少額になる場合は雑費として計上する場合が多いでしょう。。参加人数や回数が少ないうちは問題ありませんが、金額や参加人数が増えてきた際には上記の(1)~(4)のいずれかに振り分けるのがベターです。
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まとめ
企業の研修費用は、種類や規模によって多岐にわたります。そのため、必要な研修に予算を割けるよう、研修カリキュラムの見直しを定期的に行うことをおすすめします。
また、近年ではeラーニングの利用によって今まで予算や時間的にハードルが高かった研修にも挑戦しやすくなっています。
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