企業にとって研修は、社員を育成するために欠かせない取り組みです。しかし研修カリキュラムを作成しても、社員がその内容を吸収して実務に活かすことができなければ、研修の効果は得られません。

実際に、研修に対し「意味がない」「効果がない」と言われることも増え、お悩みの方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、「研修には意味がない」と言われる理由や、効果のある研修を行うためのポイントを解説します。

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「研修には意味がない」と言われる理由

人材育成に欠かせない研修ですが、受講者や管理職などから「意味がない」「役に立たない」と言われることもあります。その理由として、主に以下のようなものが挙げられます。

  • 受講者が研修の目的を理解していない
  • 研修内容が「現場で求められること」に合わない
  • 知識のインプットに偏りアウトプットが少ない
  • 受講者のスキルと研修内容にミスマッチがある

受講者が研修の目的を理解していない

そもそも何のために研修を行うのかという目的や、それによってどんな効果が得られるかを受講者が理解していないケースは少なくありません。受講者目的やゴールを理解していないと研修の重要性を感じられず、主体的に参加できなくなります。結果的に研修効果が低下して「意味がない」と思われることが増えてしまうでしょう。

研修内容が「現場で求められること」に合わない

研修内容が「現場で求められていること」と合っていないと、学んだことを実務に活かせません。例えば、実際の現場ではすでに使われていない知識や技術を、研修で教え続けているような場合です。せっかく学んでも現場で使うことがなければ、研修時間や社員の努力が無駄になってしまいます。

知識のインプットに偏りアウトプットが少ない

座学中心の研修を行っている場合は、インプットに偏ってアウトプットの機会が少ない場合があります。一方的なインプットの時間が多いと、受講者が退屈に感じてモチベーションが低下してしまうでしょう。また、アウトプットの機会が少ないと、実務への落とし込み方わからず戸惑ってしまうかもしれません。そのような場合に「研修の意味がなかった」と思われやすくなります。

受講者のスキルと研修内容にミスマッチがある

受講者のスキルと研修内容のミスマッチも、研修には意味がないと言われる理由です。例えば、受講者の多くがすでに身につけている知識・スキルに関する研修を行っても、研修効果はほとんど得られません。また、難易度が高すぎる研修内容の場合にも受講者のモチベーションが下がってしまうでしょう。研修前に受講者のスキルを確認することが大切です。

「意味がある」と思われる研修にする方法

もし、研修に対して「意味がない」といった反応が多いようなら、次の5つのポイントを意識して改善に取り組みましょう。

  1. 研修の目的を明確にする
  2. 受講しやすい環境をつくる
  3. 受講者の弱点や必要な知識を可視化する
  4. 研修内容を実務に結び付ける
  5. 研修で価値観の変容を促す
  6. フォローアップ研修を行う

1.研修の目的を明確にする

まずは研修の目的を明確にしましょう。自社の課題を洗い出し、どんな人材を育成すればいいかを定めておくことで、研修のゴールが明確になります。例えば、知識・スキルの習得行動変容意識改革などが主な目標として挙げられます。

2.受講しやすい環境をつくる

社員が安心して受講できる環境・雰囲気を作り出すことも大切です。例えば、「このやり方が正しい」と押し付けるような姿勢では、受講者が委縮してしまいます。意見やアイデアの交換、質問などをしやすい雰囲気を作ることで、能動的に学習できる環境が整います。

3.受講者の弱点や必要な知識を可視化する

事前課題ワークを用いながら、受講者の弱点や足りない部分を認識する時間を設けましょう。自分自身ではできていると感じている場合も、企業が求める水準に達していないという場合があります。弱点や足りない部分を可視化した後は、足りない部分を補うようなサポートやフィードバックを行うことが大切です。

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4.研修内容を実務に結び付ける

研修内容を実務に活かせるようにするために、グループワークOJTなどの研修でアウトプットの機会を設けることも大切です。学んだことを実践する機会を増やすことで、実務でも成果が出せるようになるでしょう。

5.研修で価値観の変容を促す

知識やスキルを身につけるだけではなく、価値観にアプローチすることも重要です。これまでの価値観に固執せず、より広い視野を持つ態度を身に付けてもらうことで、研修はもちろん業務への意欲も高まるでしょう。

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6.フォローアップ研修を行う

研修の大きな目的は、現場でのパフォーマンス向上にあります。しかし、研修を受けるだけですべてが身につくわけではないので、フォローアップ研修なども取り入れて習熟度を高めることが大切です。

意味のある研修にするための新たな方法

受講者に「意味のある研修」だと感じてもらうために、次のような研修手法を取り入れてみましょう。

  • ゲーミフィケーション
  • マイクロラーニング
  • eラーニング
  • ブレンディッドラーニング

ゲーミフィケーション

ゲーミフィケーション」は、ゲームの要素や仕組みを研修に取り入れる手法です。例えば、クイズランキングレベルアップスコア競争などの要素は、社員の学習意欲や意識の向上につながるでしょう。

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マイクロラーニング

マイクロラーニング」とは、短時間の学習を重ねる手法です。人間の集中力は短時間しか保てないため、15〜30分ごとに休憩を挟みながら学ぶことが効果的だと考えられています。忙しい社員でも学びやすいことが魅力的です。

eラーニング

eラーニング」は、スマートフォンなどのモバイル端末で、研修が受けられるシステムです。時間と場所を選ばず、受講者が自身のペースで学べることが魅力です。短時間のコンテンツを作成すれば、マイクロラーニングの実現にもつながります。

ブレンディッドラーニング

ブレンディッドラーニング」は、対面式の研修とオンライン研修(eラーニング)を組み合わせた手法です。例えば必要な知識をeラーニングで学び、対面式の研修でアウトプットするといった方法が挙げられます。リモートワークやオンライン研修が増えている中で、効率よく研修を進める方法として注目されています。

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まとめ

研修には意味がない」と言われる主な理由は、社員が研修の目的を理解していないことや、学習内容が現場で活かせないことです。「意味のある」研修にするには、研修目的を明確にして、現場で必要とされる知識・スキルを身に付けてもらうことが大切です。

研修の効果をさらに高めるために、ゲーミフィケーションマイクロラーニングeラーニングなども取り入れるのがおすすめです。特にeラーニングは社員の自由な学びをサポートできるため、中長期的な人材育成にも高い効果を見込めるでしょう。