eラーニングで企業の社員教育はここまでできる!研修マップ付きで活用法を解説
「eラーニングで社員教育、研修はどこまでできるのか?」
従業員教育におけるeラーニングの活用方法を検討されている方は、このような疑問をお持ちだと思います。
多くの企業が人材育成にeラーニングを活用していますが、利用の仕方はさまざまです。人材育成上の課題やeラーニングの導入目的は各社で異なりますので、当然といえば当然です。しかし、単にベンダーから提示されたパッケージプランを買ってみたとか、スポット的に上から指示のあった科目だけを毎年eラーニングで繰り返し実施しているだけ、といった例もあるようです。
もしあなたの会社が上記の例に当てはまるとしたら、少々もったいないことをしているかもしれません。eラーニングの活用可能領域はかなり広く、教育の設計の仕方次第で大きく変わるからです。
本稿では、教育体系のサンプルに当てはめる形でeラーニングの活用領域についてご紹介します。業界を定めないサンプルなので単純化しているところもありますが、eラーニングの可能性を確認したい方には必ずや参考にしていただけると思います。
企業向けeラーニングシステム10件の比較、eラーニングシステム選定時に知っておきたいポイントなどをまとめた、eラーニング導入時に役立つ情報満載の一冊です。
目次
eラーニングとはどんな学習方法?
eラーニングとは、電子機器(パソコン、タブレット、スマートフォンなど)とインターネットを活用した教育手法です。e-ラーニング、e-learning、イーラーニングとも表記されます。
端末でインターネットと接続できる環境であれば時間や場所を問わず学習できるという利点から、教育機関のみならず企業や医療機関での研修や社員教育にも多く取り入れられています。
教材コンテンツをLMS(Learning Management System、学習管理システム)に登録して配信するという方法が主流です。教材コンテンツを構成する要素はテキストとイラスト、画像、動画などです。学習者はコンテンツから情報を読み取り、テストがある場合はテストを受けて受講を修了します。
eラーニング教材のみで対応可能な研修、社員教育の領域とは?
eラーニングは社員研修において非常に有用ですが、eラーニングのみで効果的に研修を実施できる領域とその他の教育手法を組み合わせる方が効果的な領域が存在します。
社員研修のすべてをeラーニングで実施するというよりは「知識の習得はeラーニングで、その知識を発展させる動的な学習は集合研修で」というように研修体系を組むことが重要になります。
知識の習得が目的ならeラーニングのみで対応可能
施策の目的が知識の習得や情報共有であれば、この方法で十分といえます。一定情報のインプット、トップメッセージの伝達、集合研修の動画による振り返りなどをeラーニングだけで行い、効果と効率を実現している例は数多く見られます。この領域はまさにeラーニングの本領発揮分野といってよいでしょう。
階層別研修など、eラーニングで実施したい研修の範囲が多岐にわたる場合や社員の自律学習を進めたい場合は必要な教材が多くなる場合もあるでしょう。そういった場合は、幅広いeラーニング教材を提供しているベンダーを利用すると、少ない工数での導入が可能になります。
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動的な学習が必要な場合はブレンディッド・ラーニングを推奨
実務で必要となる知識やスキルには、もっと動的な学習が必要なものも多くあります。例えばグループ・ディスカッションを通じて気付きを得る、熟練者から体験共有を受ける、実技を通じて体得するなど。
こうした学習の効果をeラーニングだけで得ることは、残念ながら困難です。そこで、こうした分野にはeラーニングと集合研修を組み合わせた「ブレンディッド・ラーニング(ブレンド研修)」がおすすめです。ブレンディッド・ラーニングはその名のとおり「混合学習」を意味し、知識の習得はeラーニングで効率化し、実技や応用の学習は集合研修で効果を高めます。設計に工夫は必要ですが、両者の「いいとこどり」をした教育手法と言えるでしょう。
企業内の教育体系・研修マップの作成方法
eラーニングをより効果的に人材育成に活用するには、自社の課題に基づいた計画性というのが何よりも大切です。そのために、自社の人材育成プランの全体像を可視化しておくことをおすすめします。
以下はその一例です。「教育体系」または「研修マップ」と呼ばれることが多いと思います。人材育成に力を入れている企業では、ホームページで公開しているところもあります。こうした資料を作成した上で、どの施策にどんな教育手法を採用していくか、個別に検討していくのがよいでしょう。
◆教育体系サンプル
こちらの図に、eラーニングを利用して研修実施できる領域を反映させると、例えば以下のようになります。
◆eラーニングでの研修実施が可能な領域
こうしてみると、かなりの分野でeラーニングが使えることが分かりますね。
ちなみに、こちらは当社製eラーニング教材のラインナップに加えて、教材作成ツールで自社オリジナルのeラーニング教材を内製もしくはeラーニング教材制作サービスで委託制作した場合を想定したイメージです。実際にこちらに近い使い方をしているクライアント企業もあります。
内製教材については、社内に知見と人的リソースさえあればいくらでも作成できますので、知識系、情報共有系に限ればどんなジャンルでもeラーニングで可能ということになります。
教育体系・研修マップはeラーニングの活用有無に関わらず、自社の人材育成の全体像を整理し、計画的に研修施策を進めていくための指針となるものです。ぜひ作成することをおすすめします。
eラーニングを活用した研修の施策例
企業には実にたくさんの「属性」が存在します。業種、職種、年齢、階層、性別、国籍、など。人材育成では、課題や目標を明らかにしたうえで、これらの属性をピックアップしたり掛け合わせたりして対象を定め、それぞれに最適な研修施策をぶつけていくわけですが、eラーニングは具体的にどのようなシーンで活用できるでしょう。
ここではその代表的な例をご紹介します。
全社研修
大規模な研修はeラーニングの得意分野です。例えばコンプライアンス教育、情報セキュリティの基礎教育、ハラスメント教育など、全社員に同じ教育内容を届けたい場合、eラーニングなら1つのコンテンツで何千人、何万人にも対応することができます。世界規模の展開も可能です。
※ 中国についてはネット規制の問題から現地サーバを手配する必要があります。(ライトワークスでは、中国に現地法人を備えております。)
「コンプライアンス研修」のeラーニング教材を詳しく見る
「情報セキュリティ研修」のeラーニング教材を詳しく見る
「ハラスメント研修」のeラーニング教材を詳しく見る
中国でのLMS/ eラーニング展開を詳しく見る
部門別研修
営業部、開発チーム、大阪支社など、組織は様々なレイヤーで区切ることができ、それぞれに習得すべき固有のスキルがあることが普通です。部門での教育はOJT一辺倒になりがちですが、OJTは教育担当者の負担が大きく、かつその指導力に大きく左右される側面があります。これらの問題を、eラーニングを活用することで改善することができます。
階層別研修
階層別研修とは、内定者研修、新入社員研修、4-5年目研修、新任管理職研修、中間管理職研修などです。ビジネス基礎など、科目によってはeラーニングのみで実施することも可能です。
発展的なテーマの場合、基礎学習や予習・復習、テストをeラーニングで実施し、講義やグループワークを集合型で実施することで(ブレンディッド・ラーニング)、研修期間の短縮やリソースの削減が可能になります。
「新入社員研修/内定者研修」のeラーニング教材を詳しく見る
「若手社員研修」のeラーニング教材を詳しく見る
「管理職研修」のeラーニング教材を詳しく見る
店舗教育研修
店舗スタッフに対して、商品研修や接客研修をする際にも、eラーニングを活用できます。従来店舗スタッフの教育はOJTが主流でしたが、新商品に関する情報共有や接客マナー、セールストークなどをeラーニングで配信すれば、全国津々浦々の店舗に同じ内容を簡単に届けることができます。
関係者全員が紙を利用する煩雑さから解放されますし、トレーナーの負担軽減にもつながるでしょう。教材作成ツールを使えば、新商品の仕様が確定した段階で教材を作り、配信することができるので、リリース時点で質の高い接客サービスを行うことが可能になります。
専門教育研修
専門的な知識や技術の伝達、マニュアルの共有等に活用します。オペレーション教育や熟練スタッフの技術伝達、社内資格教育など、自社固有の確定した情報を大勢の従業員に正確に伝えたい場合に効果的です。
動画を使えば機械の操作方法や目線・手先の動きなども具体的に伝えることができるので、文字情報では伝えにくい内容も分かりやすく届けられますし、日本語が分からない外国人労働者向けの教材としても使えます。
自社独自の専門教育のeラーニング化は、自社での内製のほか、eラーニング教材制作サービスを利用して作成することも可能です。
語学教育研修
eラーニングの教材コンテンツでは、文法や単語の学習、センテンスの習得、ヒアリング、確認テストなど、実践会話以外の要素を学ぶことができます。これにオンライン会話を組み合わせることで、より効果的な学習が可能になるでしょう。
なお、現場で求められる外国語力は業種や職種によって異なるので、教材を調達する場合はオーダーメイドやカスタマイズも検討すると良いでしょう。例えば接客スタッフの場合、取り急ぎ自社の商品やサービスに関するセンテンスだけを丸覚えするという施策も考えられます。
「TOEIC®」「ビジネス英語」など「グローバル研修」のeラーニング教材を詳しく見る
eラーニング研修の可能性を広げるLMS(学習管理システム)の機能
もともとLMSは教材コンテンツの配信と学習履歴の管理を主な役割としていましたが、最近はベンダー各社がより多彩な機能を搭載したLMSを提供しています。これらの機能を活用することで、従来のeラーニングよりも複雑で手の込んだ教育施策の展開が可能になります。
ここでは代表的な機能をいくつかご紹介しましょう。
研修管理機能
筆頭に来るのが集合研修のスケジュールや申し込みを管理するための集合研修管理機能です。ブレンディッド・ラーニングの普及とともに、eラーニングとセットで管理する必要性が高まったこともあり、この機能を備えているLMSは多くみられます。
ライトワークスのLMS「CAREERSHIP(r)」の研修管理機能
動画配信機能
eラーニングの教材コンテンツと同じように、学習者に動画を配信する機能です。
配信技術の発達、モバイル端末の普及により、動画文化はごく身近なものになりました。一昔前と比べても、家電レベルの機材で撮影できる映像の質、配信コスト、再生環境のレベルは格段に向上しています。そこで、自社で撮影した動画を従業員教育に活用する企業が増えています。例えば集合研修のダイジェスト版を振り返りや欠席者フォローのために配信したり、作業手順の動画を製造現場スタッフに配信したり、といった具合です。視覚的に学べるので、外国人スタッフの教育にも有効です。
教育目的以外にも、企業トップのメッセージや重要な会議の内容を全社配信するなど、ナレッジ共有に利用する例もみられます。
ライトワークスのLMS「CAREERSHIP(r)」の動画配信機能
eラーニング教材作成ツール
eラーニングの教材コンテンツを自社で作成するためのツールです。多くの場合、エクセルやパワーポイントで作成した素材ファイルをWebコンテンツに変換する仕組みになっています。動画や音声もつけられます。何より低コスト、そしてメンテナンスも手軽にできるので、多くの企業が教材コンテンツの内製化に取り組んでいます。
アンケート・レポート機能
実施した教育施策の効果測定や、次回施策を検討するための意識調査などに、アンケートは欠かせません。この機能がLMS内にあると、教育施策と連動した管理が可能になるので、大変便利です。
また、集合研修のアンケートは従来その場で記述してもらい、それをデータ化する必要がありましたが、LMSなら職場に戻ってから隙間時間に回答してもらい、しかも回答と同時にデータ化されます。受講者にとっても事務局にとっても効率的といえるでしょう。
また、学習レポートの提出や、ナレッジマネジメントを目的とした情報の吸い上げにも活用されます。テキストだけでなく画像や文書ファイルもアップできるので、課題の提出や相談窓口などにも活用できるでしょう。
コース管理機能
LMSで管理できる教育素材(eラーニングや集合研修、レポート、社内SNSなど)が増えたので、これらを「コース」としてまとめて学習者に提供するための機能です。例えば以下のような例が考えられます。異なる機能を組み合わせたプログラムを自由に組み合わせられるところが大きなメリットです。
ライトワークスのLMS「CAREERSHIP(r)」のコース管理機能
社内SNS機能
TwitterやFacebookなどのSNSはすでに身近なものですが、従業員教育に利用するとなるとセキュリティ上の問題が生じます。LMSなら、利用範囲を限定できるので、さまざまな形で教育施策に活用することが可能です。
例えば、集合研修で組んだグループのメンバーを社内SNS上でつなげ、意見交換をしながら事後課題の成果物を作ったり、社内のナレッジの吸収に活用したりといった使い方があります。当社の事例では、前者については内定者研修後の関係強化やリーダー層の選抜研修に活用する例がみられます。後者については、コンプライアンスに関するヒヤリ・ハット事例を社内から収集して事例学習に役立てたり、小売系の企業で、店舗の販促物やディスプレイのコンテストに利用するといった例があります。
ライトワークスのLMS「CAREERSHIP(r)」の社内SNS機能
資格管理機能
資格はその従業員が持つ能力を示す、重要な属性情報です。同時に、成長の段階を示す指標でもあります。これをLMS上で管理することで、人材育成やタレントマネジメントに活かすことができます。例えば、ある資格を取得するために必要な教育を提供したり、資格情報を人材の配置に役立てるといった使い方です。
資格には公的資格・民間資格だけでなく、自社独自の資格・等級もありますので、内容を自由に登録できるものが多いようです。
ライトワークスのLMS「CAREERSHIP(r)」の資格管理機能(個人データベース機能)
スキル管理機能(タレントマネジメント機能)
自社のスキル体系をLMSに登録し、段階を追った学習を可能にする機能です。「ある時点における人材の能力」に着目するのではなく、その能力の育成プランをシステム内で管理するという点が、典型的なタレントマネジメントシステムと異なります。
学習にはeラーニングや集合研修、OJTなどが活用され、その履歴をシステムに記録していくことが可能です。新人教育や、社内の資格等級制度に沿ったキャリア開発、専門職の育成などに活用されることが多いようです。
ライトワークスのLMS「CAREERSHIP(r)」のスキル管理機能(タレントマネジメント機能)
ポータル機能(マイページ機能)
・ポータル機能(LMSにeラーニング以外のさまざまな学習コンテンツを登録し、総合的なキャリア支援を図るための機能です。人事部が届けたいさまざまな情報を、テキストや画像、動画などで配信することができます。学習者が従来のように「教材コンテンツを受講するため」だけでなく、自身に有用な情報を得るために、より日常的にLMSにログインし、「学び」の要素に触れることを狙いとしています。
「学習する風土」を作りたいと願う企業は多いはず。ポータル機能はその一助となるでしょう。
LMS(学習管理システム)とは?(ライトワークス企業サイト)
eラーニング・LMSを研修に活用するポイント
先に挙げた教育体系にeラーニングやLMSをフル活用していく場合、どんな考え方や工夫が必要になるでしょうか。ここではそのポイントをご紹介します。
全社教育、自己啓発はeラーニングの得意領域
教育体系図からもわかるように、コンプライアンスなどの全社教育の基礎部分と自己啓発は、eラーニングで十分まかなうことができます。基礎知識を広く共有できることはもちろん、法定の教育などエビデンスを残す必要のある施策は、LMSの学習履歴の活用が大きなメリットとなります。
なお、ことコンプライアンスについては、自社の事例が学習に役立ちます。例えば過去の不祥事や、今現在社内に潜在しているリスク事例を現場から収集し、学びに活かすという方法です。このため、特に応用編の段階では、eラーニングだけでなく、社内SNSや集合研修の場を活用し、よりリアルなテーマを題材にして学習を進めていくと効果的です。
階層別研修やダイバーシティ教育、グローバル教育、職種別教育では集合研修やセミナーと組み合わせて
知識の習得だけでは十分な成長や学習効果が見込めない分野については、集合研修やセミナーと組み合わせた展開がおすすめです。階層別研修では、他の参加者とのディスカッションやネットワーク構築も重要な要素なので、eラーニングは予習や復習、テストなどに活用するのがよいでしょう。
ダイバーシティ教育
ダイバーシティ教育では、社員の意識改革が大変重要になります。力を入れている企業では、eラーニングで基礎知識を学びつつ、有識者の講演を聞いて質疑応答を行ったり、特定のテーマについてディスカッションを行うなど、実体験に触れたり、他の従業員と「感覚」を共有できる場を提供するといった工夫が見られます。
グローバル教育
グローバル教育でも、語学であれば講師と1対1でのオンライントレーニング、異文化教育であれば体験共有、そして現地派遣型など、基礎教育も他に体験を重視する傾向が見られます。
職種別教育
職種別教育は、なんといっても実務教育ですから、eラーニングによる基礎教育に加えてOJTが重要になります。OJTでポイントとなるのはトレーナーの質と実施状況の管理方法でしょう。トレーナーについては、教育とアサインをしっかりと行うことが大切です。OJTの実施状況は、上でご紹介したスキル管理機能を使ってチェックすることが可能です。
なお、職種別教育のうち商品教育については、eラーニングだけでも可能かもしれません。特にリテール業界や保険業界など、頻繁に新商品が出る業界の場合、スピーディかつ確実な情報共有が必要になります。商品開発と平行して教材コンテンツを用意して配信し、LMSで学習状況をチェックするといった取り組みは十分効果的です。
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職種別教育では、職種ごとのスキル体系を整備することで自分の「現在地」も確認可能に
職種別教育は、細かな「ステップアップ」の積み重ねでできているといえます。同時に、自身の成長をいかに実感できるかという点がモチベーションを大きく左右します。これを可視化する材料となるのがスキル体系です。職種別のスキル体系を構成するのは自社が培ってきたノウハウそのものですから、パッケージを買ってそのまま導入、というわけにはいきません。熟練社員のコンピテンシーを分析したり、理想の人材像を定義してその能力を棚卸しするなどして、それぞれの職種の階層別に割り当てていく作業が必要です。
これをLMSに登録し、育成に活用するのがスキル管理機能です。
従来型のeラーニングでは、教材コンテンツが画面上に並んでいるだけでした。これでは、自分自身の育成計画とそれぞれの教材の関係は把握できません。スキル管理機能では、任意の軸で学習プログラムを整理して見せることができます。例えば入社1週目のプログラム、2週目のプログラム、と時間軸で区切って習得ステップを提示したり、業務別にまとめて目的を分かりやすくする、といった具合です。
教材作成ツールの活用でさらに幅は広がる
先に述べたとおり、スキル体系は自社オリジナルのものですから、スキル習得に必要な教材の内容も自社特有の知見で構成されることになります。これをeラーニングで実施する場合、教材ごとに外注するよりも自社作ってしまった方が効率的です。そこで役に立つのが教材作成ツールです。多くの企業が、社内研修のテキストや業務マニュアルなど、既存の資料を転用してシンプルな教材コンテンツを作って運用しています。
LMSのポータル化は総合キャリア支援の究極の形
上記のようなさまざまな施策を展開していく場合、単にeラーニングを学習に使う場合と比べて、LMSの役割は格段に増します。利用者はeラーニングの教材コンテンツを受講するときだけでなく、集合研修の日程を確認したり、受講したい研修を選んで申請したり、社内SNSに投稿したり、スキル体系における自分の「現在地」や「次の目標」を確認するために、LMSにアクセスするようになるでしょう。
この段階になると、LMSというのは単に「学習を管理するシステム」というよりも、「成長を支援するプラットフォーム」に近い存在になります。これを追求したのが、ポータルとしてのLMSです。総合的なキャリア支援を目的とし、ガジェット機能を備え、eラーニングはもちろん、トピック配信や外部リンク集など、任意のコンテンツを配置して従業員に提示することができます。
将来的には人工知能(AI)の活用により、利用者に最適な学習プログラムを提案するなどの機能も備えていくでしょう。人事部の手を介さずとも、LMSが従業員に常に寄り添い、自然と成長を促進していく、そんな時代がやってくるかもしれません。これが、LMSが目指す究極の形といってよいでしょう。
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まとめ
本記事では、企業の研修にeラーニングやLMSをどこまで活用できるか?を考察してきました。
従来型のeラーニングは、知識の習得や情報の共有に役立ちますが、それだけでは活用領域は限られます。eラーニングと集合研修を組み合わせたブレンディッド・ラーニングや、社内SNSを使ったナレッジマネジメント、段階的な教育を実現するためのスキル体系利用など、LMSのさまざまな機能を活用することにより、より多彩で自由な教育施策を作り上げていくことができます。
その前提として、自社の教育体系を整備し、どの教育施策にどのような手法を使っていくのか、計画を立てることが重要です。このとき、eラーニングやLMSをどう活用するのがよいか、そのポイントを5つご紹介しました。
① 全社教育、自己啓発はeラーニングの得意領域
② 階層別研修やダイバーシティ教育、グローバル教育、職種別教育では集合研修やセミナーと組み合わせて
③ 職種別教育では、職種ごとのスキル体系を整備することで自分の「現在地」も確認可能に
④ 教材作成ツールの活用でさらに幅は広がる
⑤ LMSのポータル化は総合キャリア支援の究極の形
ぜひこれらを参考に、最適な教育プランを検討してみてください。
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