新入社員研修というと一般的には座学での集合研修をイメージしますが、それだけでは新入社員も飽きてしまうかもしれません。その際、効果的に学習意欲を高める手法のひとつがグループワークです。

本記事では、新入社員研修でグループワークをすべき理由やメリットを踏まえて、使えるテーマについて解説します。新入社員研修で効果的にグループワークを進めたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

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新入社員研修に関する
アンケート調査結果

研修受講者と企業の人事担当者にそれぞれ実施した新入社員研修アンケート調査(2023年10月実施)の結果を1冊にまとめました。ぜひ研修実施・改善にご活用ください。

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新入社員研修に関するアンケート調査結果

新入社員研修でグループワークをすべき理由

新入社員研修でグループワークを実施する理由は、コミュニケーションの活性化につながるからです。

グループワークはひとつのテーマに対してチームで取り組み、議論や討論、発表していく研修手法です。メンバーと協同しながら目標達成に向けて取り組むことで、集団の問題解決や効果的な対処法を発見することが目的です。

そのため、同僚との関係性がまだ薄い段階でグループワークを研修に取り入れることで、その後のコミュニケーションの活性化を期待できるでしょう。

新入社員研修で使えるグループワークの種類

新入社員研修で使えるグループワークの種類について紹介します。グループワークといっても、議論を目的としているものや成果物を出すもの、勝ち負けを競うゲーム形式のものなどさまざまです。ここからは具体的な種類について詳しく解説していきます。

ディスカッション型

提示されたお題についてチーム内で自由に議論するグループワークです。結論の質よりも相手の意見を否定せずに活発な議論をすることに重きを置いています。最後にチームごとにまとめた結論をプレゼンテーションすることもあります。

ディベート型

賛成・反対など意見が分かれるテーマについて、チーム同士で議論するグループワークです。ロジカルな主張を通じて建設的な議論を進めていくのが特徴で、主観に頼らずに結論を出したり、相手を説得するための交渉をしたりする力が培われます。

ケーススタディ型

現実に即した状況や実際に起こったケースをもとにして、対応方法を話し合うグループワークです。業務内容に合わせたテーマを設定することで、配属前でも業務のイメージを描きやすい特徴があります。また、正解がひとつに決まっていない事柄に対し、柔軟に思考する力を育む目的で実施されることもあります。

ゲーム型

紙やカードなど道具を使って学ぶグループワークです。遊びの要素も入れながら学べるため、参加意欲を引き出しやすかったり、参加者の普段の考え方や行動が反映されやすかったりなどの特徴があります。アイスブレイクとしての効果もあるため、気軽に取り入れやすいグループワークです。

新入社員研修でグループワークを実施する6つのメリット

新入社員研修でグループワークを実施することで得られる6つのメリットは以下のとおりです。

  1. 社会人としてのスキルが身につく
  2. 参加者が主体的に学べる
  3. 参加者同士でコミュニケーションが生まれる
  4. 新入社員の素に近い状態の評価が可能
  5. リフレッシュになる
  6. オンラインでも実施できる

1.社会人としてのスキルが身につく

グループワークでは座学の研修とは異なり参加者が能動的に動く必要があります。また、話し合いの中ではグループ内の協力が不可欠であり、協調性や思考力、課題解決力が求められます。そのため、グループワークを通じて社会人として求められる基本的な力が身につくでしょう。

2.参加者が主体的に学べる

座学のみでは参加者は受け身になりやすいですが、グループワークであれば主体的に話す機会が増えるため、意見交換が活性になります。自分の言葉が反映されたり、議論の活性化に役立っていたりという自覚が生まれることで、より研修内容も定着しやすくなるでしょう。

3.参加者同士でコミュニケーションが生まれる

グループワークでは、参加者同士のコミュニケーションが不可欠です。参加者がそれぞれの意見の背景や経験を共有できるため、研修後もスムーズにコミュニケーションを取ることができ、職場の雰囲気が良くなることも期待できます。

4.新入社員の普段に近い状態の評価が可能

グループワークでは、採用面接や上司との面談とは違った一面が見られます。研修担当者にとっては今後伸ばすべき部分を発見したり、本人へフィードバックしたりする方法を考えるのに役立つでしょう。また、配属先を決定する際にも参考になります。

5.リフレッシュになる

新入社員研修は覚えることが多く、長丁場になることもあり大変です。人の集中力が続くのには限界があるため、アイスブレイクや場面の転換の要素としてグループワークを入れる場合もあります。研修にもメリハリがつくことで受講者も切り替えができ、集中して研修に臨めるでしょう。

6.オンラインでも実施できる

グループワークは制作物が必要な研修以外であれば、オンラインでも実施可能です。研修場所を確保する必要がなければコストも抑えられます。また、画面共有などによって資料が見やすい、他グループの内容が聞こえないためより気兼ねなく話せるなどのメリットもあります。

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新入社員研修のグループワークでおすすめのテーマ・お題

グループワークの種類に応じた、新入社員研修でおすすめのテーマやお題を紹介します。

ディスカッション型・ケーススタディ型におすすめのテーマ

ディスカッション型やケーススタディ型の多くは明確な正解がなく、ロジカルかつ柔軟な対応によって論を立てていくスキルが求められます。実際の業務に関するような身近な内容や、社会問題のようなテーマを取り扱ってもよいでしょう。

具体的なテーマの例は次のとおりです。

  • 新規事業や新規サービスの立案
  • 自社商品の強みは何か
  • 自社の所属する業界は10年後にどのように変化しているか
  • 子どもの出生率を上げるためにはどうするべきか

グループワークを実施する目的に合わせてテーマを設定するのがよいでしょう。

ディベート型におすすめのテーマ

ディベート型では明確に主張が分かれているものを扱います。「賛成」か「反対」、「A」か「B」のように限定された選択肢に分かれて討論を行うため、相手に対して論理的に話す力が求められるでしょう。具体的な例は次のとおりです。

  • リモートワーク制度は導入するべきか
  • 電子書籍と紙の書籍はどちらがよいか
  • 友情とお金のどちらを選ぶか

ゲーム型におすすめのお題

ゲーム型では、チーム別に勝敗を競うため、結果を数字で可視化できるのが特徴となります。ゲーム型におすすめのお題は次のとおりです。

ゲームの種類詳細
十人十色ゲーム4~6人のグループの中で代表者1名を決め、その人の趣味や好きなものについてチームメンバーが予想していくゲームです。予想が当たったら点数が付与され、最終的な得点が高いチームが勝利となります。 相手の立場に立って考える、多様な価値観を知るという目的があります。
ペーパータワーペーパータワーでは、紙やセロハンテープを使ってタワーを組み立て、その高さを競います。協力してひとつのものを作ることによる協調性や、さまざまなアイテムを使って組み立てる柔軟性を測ることができます。
チャンバラ合戦スポンジの刀を使って、相手の片腕についているボールを落とすゲームです。個人戦やチーム戦、チーム内で大将を決めて打ち取る大将戦などがあります。 相手の力を見極める、戦略を立てるというスキルを活かせるでしょう。

新入社員研修のグループワークを成功に導くポイント

新入社員研修のグループワークを成功に導くポイントを紹介します。

事前準備を念入りにする

事前準備は会場を確保する以外にも、備品準備や投影する資料の準備なども必要です。また、時間配分や役割決め、議論のフレームワークも決めなければなりません。ディスカッション型やディベート型であれば、扱うテーマや選択肢を十分に検討しておくことも忘れないようにしておきましょう。

メンバー全員が参加できるような環境を作る

グループワークではメンバー全員が参加できるような環境づくりも大切です。意思決定する場合は1グループ4〜5人がベストといえるでしょう。リーダーシップをとれるメンバーを各チームに入れる配慮なども必要です。

事実に基づくフィードバックをする

事実に基づいたコメントやレクチャーをすることも大切です。進行役やファシリテーターである研修担当者は、フィードバックのために、誰がどんなことをして発言したのか各グループの状況をメモしておきましょう。1人で見切れない場合は、じっくりと見られるように担当者を複数人配置するような人数調整も必要です。

eラーニングなどを活用し振り返りを行う

グループワークの時間内で全員にフィードバックしきれない場合も想定されます。その場合、振り返りや思考の整理を促す目的からeラーニングの活用も検討しましょう。例えば、自由記述欄等を活用し、感想や思考の変化をアウトプットしてもらうのもよいでしょう。

新入社員研修でグループワークをする際の注意点

新入社員研修でグループワークをする際の注意点を解説します。これらを踏まえて、グループワークを成功に導きましょう。

グループワークの目的を具体的に定める

グループワークはあくまで手段であり、研修目的に応じた内容にする必要があります。具体的な目的の例は次のとおりです。

  • リーダーシップのある人材を育てたい
  • 主体的・能動的な行動ができる人材の育成
  • 営業や商談など業務内容に対する不安の払しょく
  • チームワークを通じて課題解決能力を身につける

また、これらの目的はグループワーク前に参加者に共有しておくのもよいでしょう。 

グループワークには時間制限を設ける

グループワークを行う際は、きちんと時間制限を設けましょう。実際のビジネスシーンでも時間内に成果を出したり、時間配分を考えて業務をしたりすることが求められるためです。時間制限がないと、スムーズにグループワークが進まずに、非効率な研修になってしまうリスクがあります。

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アンケート調査結果

研修受講者と企業の人事担当者にそれぞれ実施した新入社員研修アンケート調査(2023年10月実施)の結果を1冊にまとめました。ぜひ研修実施・改善にご活用ください。

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新入社員研修に関するアンケート調査結果

まとめ

新入社員研修では、目的に合わせた種類のグループワークを行うことが効果的です。グループワークを通して業務に必要なスキルが身につき、社内でのコミュニケーションが円滑になります。
 
そのためには、研修目的を明確にしたうえでグループワークの種類やテーマ選びをすることが大切です。会場設営や備品だけでなく、フィードバック方法や担当者の選定などの準備もきちんと行いましょう。