近年では研修をリモートで行う企業が増えています。リモート研修は、実施場所を選ばずどの社員にも一定の品質の研修を提供できるメリットがある一方、他者との交流が希薄になったり、講師に質問しづらかったりするデメリットがあります。

本記事では、リモート研修をするメリットや、効果的に実施するためのポイントを解説していきます。リモート研修を活用して、人材教育を効果的に進めていきたいとお悩みの方は、ぜひ研修の参考にしてください。

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リモート研修とは

リモート研修とは、インターネット上で受講する研修総称で、「Web研修」や「オンライン研修」とも呼ばれます。対面式の研修とは異なり、受講者は自宅や会社など場所を問わず、通信環境がある場所ではどこでも受講できるのが最大の特徴です。

リモート研修には大きく分けて2種類の配信方法があります。講師による研修がリアルタイムで配信される「ライブ配信型」と、事前に録画した映像がオンライン上で配信される「録画配信型(eラーニング)」です。ライブ配信型では、講師への質問や受講者同士での意見交換が可能である一方で、映像や音声の不具合リスクがあります。対して、録画配信型では、双方向のコミュニケーションは行えませんが、時間や場所を問わずに研修を受けられます。

目的やターゲットによって適切な手法を使い分けることで、リモート研修の効果を高められるでしょう。

リモート研修を活用するメリット

リモート研修を活用するメリットは、主に以下の内容が挙げられます。

  • 働き方の多様性に対応できる
  • コストの削減ができる
  • 研修の品質を一定に保てる
  • 繰り返し見られる

働き方の多様性に対応できる    

リモート研修は、多様な働き方対応できるのが大きなメリットです。インターネット環境があれば自宅や会社、出張先など場所の制約がなく、対面型の研修に比べると日時の調整が容易です。そのため、多様な働き方の社員がいる組織にも適しているといえるでしょう。

コストの削減ができる

リモート研修では、従来の対面研修と比較するとコストの削減ができます。たとえば、集合研修と比較した場合、会場費や受講者の交通費宿泊費などのコストがかからなくなります。また、これまで各拠点で複数回に分けて行っていた研修なども、リモート研修にすることでコストを抑えながら同じタイミングで研修が実施できます。

研修の品質を一定に保てる

リモート研修は同時に多くの人数の受講が可能なため、受講者ごとの学習内容差ができにくいというメリットがあります。また、講義の録画を教材として使うこともできるので、当日参加できない受講者同じ質の研修を受けることができます。

一方、対面研修の場合は「講師の声が聞こえにくい」「席の配置が悪くスライドや映像が見づらい」などの講師ごとや環境による差があるため、理解度にも差が出る場合があります。

繰り返し見られる

録画配信型(eラーニング)であれば研修後も繰り返し視聴することが可能です。研修内で聞き逃してしまった内容や理解が浅い内容について、復習として見返すこともできます。受講者は外出先でもスマートフォンを通じて、研修を何度も受けられるため、研修内容の理解がより深まるでしょう。

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リモート研修を効果的に行うポイント

効果的にリモート研修を行うポイントとして、以下の内容が挙げられます。

  • サポート役を配置する
  • チャットツールを活用する
  • グループを少人数に分ける
  • フォローアップ研修を行う

サポート役を配置する

リモート研修を実施する際には、講師のほかサポート役を配置するとよいでしょう。特にリモート研修を導入したばかりの時期や、リモートに不慣れな受講者がいる場合には、「繋がらない」「操作方法がわからない」といったトラブルが頻発すると想定されます。緊急事態に対応できる人を決めておくことで、研修をスムーズに進行できます。

チャットツールを活用する

質の高い研修をするために、チャットツールを活用するとより効果的です。投影資料だけではわかりにくい点を補足する、アンケートを取るなど様々な使い方ができ、研修内容にたいして理解が深まります。他にも、参考URLの紹介や資料の配布など、多様な使い方が可能です。

グループを少人数に分ける

Web会議ツールを使用してのグループディスカッションを取り入れる場合は、3~4人程度の少人数に分けるのが望ましいでしょう。大人数が参加できるのがメリットですが、議論や対話が必要な場面においては、タイミングがつかめず会話に入れない受講者が出る可能性が高まります。そのため、リモートでのグループワークは少人数に分けて行い、受講者全員発言できるような工夫が必要です。

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フォローアップ研修を行う

受講者の知識の定着を深めるために、リモート研修後のフォローアップも行うのがポイントです。受講者の数が多いと、疑問点があっても質問しにくいと感じる場合や、研修の内容を実務に落とし込むイメージを描きにくい場合が想定されます。習熟度を確認するための研修を別途実施し、理解を深めるためのサポートも行いましょう。

リモート研修における注意点

リモート研修を実施するうえで、注意しておきたい点をまとめました。

  • 受講者の集中力を保ちにくい
  • インターネット環境のトラブルが起こりやすい
  • コミュニケーションの機会が少ない
  • リモート研修用のカリキュラムが必要

受講者の集中力を保ちにくい

リモート研修において、受講者の集中力や関心を長時間維持させるのは企業の大きな課題ともいえます。社内での研修であれば他者の視線もありますが、自宅で受講している受講者にとってはリラックスした状態のため集中力を失いやすい状況です。一般的に、集中力は15分が最大といわれているため、リモート研修では15~30分以内内容をまとめるような工夫が必要です。

短時間で行う学習方法は「マイクロラーニング」と呼ばれています。自身のペースで学べるeラーニングは、このマイクロラーニングにも最適な手法です。マイクロラーニングについて以下の記事でも詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。

インターネット環境のトラブルが起こりやすい

研修をスムーズにするためにも、インターネット環境のトラブルに注意しましょう。主催者だけではなく、受講者のインターネット環境が整っているかも事前にチェックが必要です。

研修中は大量のデータのやり取りが発生するため、受講者側にWi-Fi環境がない場合や通信速度が不安定な場合は会社側からのフォローも必要になるかもしれません。

また、ライブ配信型の研修では、受講者がカメラやマイクが内蔵されたパソコン・タブレット端末を使用できるのかについても確認しておきましょう。

コミュニケーションの機会が少ない

リモート研修では、受講者同士のコミュニケーションの場が少なくなりがちです。Web会議ツールを使って受講する研修スタイルでは、受講者どうしが休憩時間に会話をしたり、講師に質問をしたりという時間を設けることが難しくなります。

特に新入社員向けの研修では、いち早く会社に溶け込むために先輩社員や同期同士のつながりが重要です。チャットツールやコメント機能などを活用し、コミュニケーションの機会を増やす工夫をしましょう。

リモート研修用のカリキュラムが必要

リモート研修では、対面研修とは異なるカリキュラムが必要です。長時間、画面をみているだけでは受講者の集中力・理解力低下する可能性があるためです。

主催者は、受講者の学習意欲を向上させるようなカリキュラムを組み、実施・改善していくことが求められます。

またWeb会議システムと学習管理システム(LMS)連携することで、研修の進捗管理成績一覧などのデータを把握できるようになります。カリキュラムの改善にはデータが不可欠のため、LMSなどを活用しながら研修をブラッシュアップしていく必要があります。

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まとめ

リモート研修にはメリットが多く、受講者にとっては時間や場所にとらわれず、企業にとってはコスト削減しながら場所の隔たりなく研修を実施できる方法です。

その一方で、リモート研修では集中力が続きにくい、受講者同士のコミュニケーションが少ないなどの課題もあるため、これらをフォローする必要があります。

注意点やコツを知ったうえでリモート研修を実施すれば、対面研修よりも高い学習効果を期待できるでしょう。その際、LMSなどのシステムを活用し、よりよい研修になるよう改善を重ねていくことが重要です。