わかりやすい研修スケジュールの作り方|作成ポイントとテンプレートを紹介
研修のスケジュール作成は、関係各所の予定調整やカリキュラムの選定などやるべきことがたくさんあるため、どのようにしたらよいか悩んでいる担当者の方も少なくないでしょう。
この記事では、わかりやすい研修スケジュールの具体的な作成の流れについて解説します。テンプレートも紹介するので、自社の研修スケジュール作成の効率化に役立ててください。
人材育成の基本から、計画の立て方、効果的な教育手法、そして学習管理システム(LMS)の最新活用法までをコンパクトに解説。人材育成に関する悩みや課題を解決するための完全ガイドです。
研修スケジュールのテンプレート
まずは研修スケジュールのテンプレートをご紹介します。自社に過去のスケジュール例がない場合や新たに作成したい場合には、本テンプレートを活用することで、スムーズに研修スケジュールが立てられるでしょう。
1日単位のもの、また長期単位のものに関して、以下にまとめています。
1日単位の研修スケジュールテンプレート
記載例は1日のみの新人研修を前提としていますが、数日に分けて実施する場合は【1日目】【2日目】のように分けて書くとわかりやすいでしょう。
内容を変更すれば既存社員の研修にも応用可能なため、新規でスケジュール作成する場合の参考にしてください。
研修スケジュール例
日時:○月○日~○月○日
場所:○○会議室
研修の目的:ビジネスマナーとビジネススキルの習得
研修担当者:人事部 佐藤太郎
【当日のスケジュール】
時間 | 内容 |
09:00~09:30 | オリエンテーション |
09:30~10:30 | ビジネスマナー講習(座学) |
10:30〜10:45 | 休憩 |
10:45〜12:00 | ビジネスマナーの練習(実技) |
12:00〜13:00 | 昼休み |
13:00〜14:30 | ビジネススキル講習(座学) |
14:30〜14:45 | 休憩 |
14:45〜16:00 | ビジネススキルの練習(実技) |
16:00〜16:15 | 休憩 |
16:15〜17:00 | 振り返り(反省会) |
備考:筆記用具・名刺入れを必ず持参してください。
長期の研修スケジュールテンプレート
長期で実施する研修スケジュールを作成するには、無料で使用できるExcelのテンプレートの活用がおすすめです。
以下のマイクロソフト社のサイトより、様々なタイプのテンプレートをダウンロードいただけます。
Microsoft Corporation「ガント チャート テンプレートを使用して整理する」,『Microsoft 365』, https://create.microsoft.com/ja-jp/templates/ガントチャート(閲覧日:2024年4月5日)
研修スケジュールの作成7ステップ
研修を実施するにあたっては「誰に・何を教え・どうなってほしいか」を明確にすることが重要です。目標に応じた研修内容を決定し、必要であれば社外研修も検討しましょう。一度作成すればフォーマットとして活用できるので、次年度以降の工数を削減できます。
研修スケジュールの作成は、以下の7ステップで進めてみましょう。
- 過去のスケジュールをチェックする
- 研修の目的と目標を決める
- 研修の予算を決める
- 研修カリキュラムを決める
- 実施方法を決める
- 担当者や講師の日程を調整する
- スケジュールに落とし込む
【STEP1】過去のスケジュールをチェックする
ゼロから研修スケジュールを作成するのは時間がかかります。前年度のスケジュールがあれば参考にしましょう。過去の研修スケジュールを参考にする際には、効果がでなかった項目を削除するのがポイントです。流れはもちろん、内容や実績なども確認する必要があります。
確認しておくべき事項は以下の項目です。
- 研修目的
- 研修内容
- 日時
- 研修にかかった費用
- 参加人数
- 実績(目標を達成できたか)
もし、過去のスケジュールがなければ冒頭に紹介したテンプレートを活用してアレンジしてみてください。
【STEP2】研修の目的と目標を決める
研修の目的(ゴール)を決めることで、受講者のモチベーションが高まり成果が出やすくなります。また、目標(いつまでに)も設定することで、研修後も進捗の確認がしやすいでしょう。
目標設定においては、配属予定の部門責任者や経営者の意見も聞いた上で設定することがポイントです。また、いくつかの段階に分けて細かく設定することで成長実感を得やすくなります。
【STEP3】研修の予算を決める
研修の予算は人数や内容によって変動するため、予め研修にどれだけの予算を割けるのか見積りを作成する必要があります。
研修にかかる費用としては以下のようなものがあります。
- 会場費
- 会場までの交通費
- 外部講師への報酬
予算によって、研修内容も変わってくるので前年度の研修費用を参考にするとよいでしょう。
また、要件を満たせば「人材開発支援助成金」や「キャリアアップ助成金」の活用もできるため、早めにチェックしておきましょう。詳しくは以下の厚生労働省Webサイトをご確認ください。
厚生労働省「人材開発支援助成金」,https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html(閲覧日:2024年4月5日)
厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内(令和5年度版)」,https://www.mhlw.go.jp/content/11910500/001083208.pdf(閲覧日:2024年4月5日)
【STEP4】研修カリキュラムを決める
研修の目的と目標及び予算が確定したら、研修カリキュラムを決めましょう。その際、担当者だけで決めず、現場担当者や経営層の意見も参考に、必要な内容を盛り込むことが重要です。また、過去の受講者にヒアリングを行い、意見を取り入れるのもよいでしょう。
ただし、あまりに内容が多いと研修スケジュールに遅れが出る可能性があります。過去の実施例なども踏まえて適切な研修内容を決めましょう。
【STEP5】実施方法を決める
カリキュラムまでが決定したら、実施方法を決定する必要があります。
具体的には次のような事項を決定しなければなりません。
- 外部へ委託するのか自社で行うのか
- 個別実施か集団研修か
- オンラインか対面か
たとえば、社内ルールやノウハウなどは自社内で研修を主催し、実施するのが効率的です。その際、オンラインでも研修を実施できます。
一方、ビジネスマナーなどは対面が向いており、社外の専門家への依頼が効率的でしょう。
予算だけでなく、講師を担当する社員の負担や効率を踏まえ、実施方法を決める必要があります。
【STEP6】担当者や講師の日程を調整する
研修内容と実施方法が決まったら、内容に応じて担当者や講師の日程を調整しましょう。とくに、外部講師に依頼する場合はカリキュラムが決まった段階で早めに依頼することが必要です。
また、会場を借りる場合は、受講者全員が余裕をもって収容できるかどうかもチェックする必要があります。
【STEP7】スケジュールに落とし込む
すべての調整が終わったら、改めてスケジュール表など可視化できるものに落とし込み、関係者や受講者へ共有します。その際に、別の研修が重複していないかも確認しましょう。
どうしても当日参加がむずかしい参加者がいる場合は、アーカイブやeラーニングなどの活用も検討しましょう。
研修スケジュールを立てる際のポイント
研修の目的を達成するためには、受講者の立場になって考えることが重要です。無理なスケジュールでは不満が出る場合があり、モチベーションが下がってしまう恐れがあります。
スケジュールを立てる際は以下の点に気をつけましょう。
- 1日に詰め込みすぎない
- 早めに人数や講師を確定する
- 振り返りやフィードバックの時間を設ける
- こまめに休憩を設定する
- 座学だけにしない
1日に詰め込みすぎない
研修を実施するからには、1日の中でできるだけ多くのことを学んでほしいという担当者は少なくありません。しかし、あまりにも内容が多すぎると受講者の負担が大きくなり、かえって定着しにくくなります。特に、新入社員の場合は覚えるのに苦戦し精神的な負担が続くと、早期離職につながる可能性もあるでしょう。
そのため、日程を複数回に分け、1回の研修に内容を詰め込みすぎないことが重要です。
早めに人数や講師を確定する
研修の実施にあたっては講師の確保が必要です。また、受講者の人数が決まらなければ、会場も押さえられません。研修の日程が決まったら、早めに人数や依頼する講師を確定するのがポイントです。忙しい講師であれば「1年前にスケジュールを押さえていないと依頼できない」ということも起こり得ます。
振り返りやフィードバックの時間を設ける
研修中はインプットが多いため、定着させるためにも内容を振り返る時間やフィードバックの時間を設け、知識の整理をすることが重要です。研修担当者がフィードバックを行うことで、受講者自身が理解できていない部分が可視化され、振り返りも行いやすくなります。
フィードバックの時間は研修の中盤や終わりに設けるとよいでしょう。また、定期的にアンケートを実施し、次回の研修の課題点を洗い出すことで研修のブラッシュアップにつながります。
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こまめに休憩を設定する
長時間集中力を維持するのは困難です。集中力が欠けると定着しにくくなるため、適度の休憩を挟むことで脳をリフレッシュさせることも必要です。受講者の負担も考慮すると、60分〜90分ごとに15分程度の休憩を入れるとよいでしょう。
座学だけにしない
座学の時間が長く続くと、集中力が落ちやすいためモチベーションの低下につながる可能性があります。そのため、途中でロールプレイングを挟む、ディスカッションの時間を設けるなど、定着率を高めるためにアウトプットを兼ねたカリキュラムを組み込むとよいでしょう。
スケジュールを作成する際に記載しておくべき項目
研修スケジュールを立てる際に、最低限盛り込まなければならないのは以下の項目です。
- 日時(研修の実施日)
- 研修の目的
- 担当者名
- タイムスケジュール
- 備考(準備するものなど)
最終的に作成した研修スケジュールは関係者や受講者へ共有するため、わかりやすく書きましょう。冒頭に紹介したテンプレートのように表にするのがおすすめです。
日時(研修の実施日)
日付は必須項目です。会社の行事や祝日などと重ならないよう、入念に確認したうえで日時を記載しましょう。
研修の目的
研修の目的や内容を記載することで、受講者が「どのような研修が受けられるのか」を理解しやすくなり、参加意欲も高まります。
担当者名
今回の研修担当者が誰なのかを記載しておくと、受講者が問い合わせをしやすくなります。また、誰が担当したのかがわかっていれば、次年度にスケジュールや内容の相談ができるため担当者名は必ず記載しましょう。
タイムスケジュール
受講者が研修の大まかな内容を把握できるように、具体的な当日の研修の流れを記載します。休憩時間も記載し「何についての内容がどれくらい実施されるのか」をわかりやすく伝えるのがポイントです。
備考(準備するものなど)
当日に受講者が持参するものや注意点などを記載しましょう。わかりやすく簡潔にするために箇条書きで記載するのがおすすめです。
人材育成の基本から、計画の立て方、効果的な教育手法、そして学習管理システム(LMS)の最新活用法までをコンパクトに解説。人材育成に関する悩みや課題を解決するための完全ガイドです。
まとめ
研修には新人研修や管理職研修などがあり、それぞれ目的が異なります。スケジュールを組む際は過去のスケジュールを確認し、実施時期や研修内容が適正であったかを検証しましょう。効果がなかったものや、費用がかかりすぎる外部研修は削除するなど、定期的に見直しが必要です。
受講者にとってわかりやすい研修スケジュールを作成するには、テンプレートを活用するのもひとつの手です。過去事例やテンプレートを参考にブラッシュアップを続けることで、効果的に研修を実施することができるでしょう。
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