新入社員のオリエンテーションは、新人が会社や仕事にスムーズに溶け込むための重要な研修です。しかし、具体的にどのようなオリエンテーションをすれば良いのか頭を悩ませる担当者も多いのではないでしょうか。

そこで、この記事ではオリエンテーションの意義や実施目的に触れた上で、具体的な方法や実施手順を解説します。効果的なオリエンテーションの実施方法について知りたい方は参考にしてみてください。

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新入社員研修に関する
アンケート調査結果

研修受講者と企業の人事担当者にそれぞれ実施した新入社員研修アンケート調査の結果を1冊にまとめました。ぜひ研修実施・改善にご活用ください。

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新入社員研修に関するアンケート調査結果

オリエンテーションとは

オリエンテーションとは、新入社員向けの講習会や説明会のことです。新入社員研修の一部として実施されることも少なくありません。

ここでは、オリエンテーションと似ている「ガイダンス」との違いに触れながら詳しく解説します。

オリエンテーションとガイダンスの違い

オリエンテーションは基本的には入社後に実施する説明会で、ガイダンスは「初歩的な案内、手引き」という意味で入社前の説明会のことを指します。

ガイダンスは「企業を知ってもらう」「就職してもらう」ことが実施の目的なのに対し、オリエンテーションは、より実践的かつ発展的な内容で「仕事に役立てる知識をつける」「実際の業務への理解を深める」ことを目的としています。

そのため、配属前の新入社員にはまずガイダンスで会社について説明がされたのちにオリエンテーションで実際の仕事について学んでもらう場合が多くなります。

新入社員オリエンテーションは実務前に行う研修

新入社員オリエンテーションは、入社後すぐに行われるケースが多いです。その場合は、入社式・オリエンテーションののち、本格的な研修・実務という流れが一般的です。

内容として、一般的には会社の概要・方針、社内規則、ビジネスマナー、仕事のやり方などの研修が行われます。企業にとってオリエンテーションは、将来的に新入社員に活躍してもらうための人材育成の場といえます。

新入社員オリエンテーションを実施する目的

新入社員オリエンテーションを実施する目的は主に以下の4つです。

  • 企業概要・事業内容への理解を深める
  • 社内でのコミュニケーションスキルを深める
  • ビジネスマナーを習得する
  • OJTで実務経験を積み、戦力として育成する

企業概要・事業内容への理解を深める

新入社員オリエンテーションには、自社についての理解を深めてもらう目的があります。自社への理解とは社内体制やルール、企業としての価値観のことです。自社への理解が深まることで、研修後もスムーズに業務を行えるようになるでしょう。

社内でのコミュニケーションスキルを深める

オリエンテーションで上司や先輩、同僚と面識をつくっておくと、その後の研修の場や業務においてコミュニケーションが取りやすくなります。円滑なコミュニケーションが構築できれば、業務の生産性の向上にもつながります。

ビジネスマナーを習得する

社会人として最低限身に着けておくべきスキルが、ビジネスマナーです。オリエンテーションでは、まず社会人にとって必要不可欠なビジネスマナーを学びます。例としては、挨拶の仕方や敬語の使い方、電話対応などが挙げられます。

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新入社員オリエンテーションで実施したい内容5選

新入社員オリエンテーションで活用できる代表的な内容を以下にまとめました。

  1. Off-JT
  2. グループワーク
  3. ロールプレイング
  4. ケーススタディ
  5. レクリエーション

1.Off-JT

Off-JTとは「Off the Job Training」の略で、実務の現場を離れ、セミナーや研修会場で行われる座学研修のことです。外部から講師を呼び、受講者は業界知識やビジネスの基礎となる内容を教わります。Off-JTでは一度に多くの社員に研修を実施できるため、一定の質で学びを提供できるというメリットがあります。

2.グループワーク

グループワークは数名(5~6人)でひとつのグループを作り、グループごとに課題に取り組む方法のことで、多くの企業で採用されています。課題内容は、報連相・問題解決などのスキルに関するもので、受講者はグループワークを通じて集団の中での立ち居振る舞いも学ぶことができます。

新入社員のグループワークでどのようなテーマを設定すればよいか知りたい場合は、以下の記事にまとめています。ぜひ参考にしてみてください。

3.ロールプレイング

ロールプレイングは、実際の業務で起こりうる状況の役割になりきって演じる方法です。電話対応や接客対応、プレゼンテーションなどのさまざまなシーンや職種で役立つ手法になります。ロールプレイングでは、自主性が促されるため、臨機応変な対応力を身につけられるでしょう。

4.ケーススタディ

ケーススタディは、実際の事例をもとにしてシミュレーションする手法であり、状況に応じた適切な判断能力を養います。主にトラブルやイレギュラー事例が生じた場合などのテーマに対して、受講者は原因や対処法を考えたり、ディスカッションしたりします。判断能力と同時に論理的な思考も身につくため、オリエンテーションにおすすめと言えるでしょう。

5.レクリエーション

レクリエーションは座学形式の自己紹介ボードやゲームのような形をとります。受講者をリラックスさせるだけでなく、内容によっては、チームワーク・人間関係の構築も可能です。コミュニケーションを活性化することで、オリエンテーションに参加するモチベーションも高まります。

新入社員オリエンテーション実施までの手順

新入社員オリエンテーションを実施するまでの手順を解説します。

オリエンテーションの日時を決める

新入社員オリエンテーションは入社すぐに行われます。期間は数日~数か月など企業の状況や考え方によってさまざまなため、日時は早めに決めておきましょう。一般的に、全員参加での研修が終われば、各部署に配属となります。

オリエンテーションの目標を設定する

オリエンテーションを通して、新入社員に身につけさせたいことや考え方などを設定します。新入社員がオリエンテーションで学んだことをその後の新入社員研修や実際の業務に活かせるような内容にすることがポイントです。そのために、目標から逆算してスケジュールを組みましょう。

社内の研修担当者・講師に依頼する

オリエンテーションのスケジュールと内容によって、人事や各部署の上司・先輩社員に担当を割り振っていきます。また、外部講師に依頼するか否かで研修のスケジューリング・方向性も変わるため、時間に余裕を持って検討しましょう。

オリエンテーションのプログラムを策定する

目標をそれぞれのオリエンテーションのプログラムを策定します。まずは自社企業の概要・理念や、業界についての基礎知識から始め、段階的に実践的な内容に移行するとスムーズです。

必要であればeラーニングなどの研修ツールも導入し、研修の補足や復習用の教材として活用するのもひとつの手です。

オリエンテーションの資料を作成する

策定したオリエンテーションのプログラムを資料に落とし込みます。研修内容を書き出し、実施の流れを理解しやすいように構成しましょう。

具体的な研修内容の前に、オリエンテーション実施の目的を明確にしておくことで受講者が何を身につけるべきか意識しやすくなります。

オリエンテーションで使用するプレゼンテーションを担当者・講師が用意している場合は、そちらを元に作成すると効率的です。

資料を一から作成する必要がある場合は、実施内容を確認し、全体の構成をまとめてから各セクションについて作成していくと良いでしょう。

新入社員研修の資料の作り方や注意点については、以下の記事で詳しく説明しています。

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新入社員研修に関する
アンケート調査結果

研修受講者と企業の人事担当者にそれぞれ実施した新入社員研修アンケート調査の結果を1冊にまとめました。ぜひ研修実施・改善にご活用ください。

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まとめ

オリエンテーションとは、入社してすぐに行われる新入社員向けの研修であり、自社や業界について知識を深め、企業人としての方向付けをする重要な役割があります。

座学で基本的な知識を伝えてからケーススタディなどの実践的内容に触れると、スムーズに知識が定着するでしょう。正しい手順を踏み、目的に応じた方法のオリエンテーションを実施することで、新入社員にとっても実りのある時間にできます。

そのためには、オリエンテーションを実施するゴールを定めた上で、逆算してスケジュールを立てて行うことも大切です。正しいポイントを押さえて効果的なオリエンテーションを実施しましょう。